その8の続き。自分のマンションを売るときには、成約相場の少しだけ上から
スタートすべきだというところまででした。
(なんで明日理事会なのにアップできるかというと、ほかからの転載だから)
これ”成約相場”とかがある程度自分の部屋そのもので見当がつかないと仲介業者の
査定価格が妥当かどうかを判断できません。
#よく、その査定価格に満足できますか?という広告がでていますが、”査定価格”が
高いから高く売れるわけではないことは今までに書いてきた通り。
査定価格に満足も不満足もなくて、”どうしてそう査定したか”が妥当に説明できない
会社あるいは担当者とはおつきあいしないほうが吉だと思います。
(仲介は個人の能力によっている部分が多いので、会社よりも誰が担当かが大事なのは
管理会社と似たところがあります)
今回はその話を少し。
不動産業さんにお勤めの方がよく買われるのはマンションの2階です。マンションの
上下階による新築時の価格差が中古物件では同じ幅では反映されず、一方1階は、
庭などの特殊条件で値段があがっていたり2階と変わらなかったりする一方で、
仲介物件としてはそれを好む一部の人以外には比較的敬遠されがちので仲介が成約
しにくいから2階。
(1階はいろいろと建物にトラブルがでやすいからというのもあります。まうちもそう)
資産価値保全の観点で見る人からすると、これはきわめて合理的な選択になります。
湾岸のタワー物件などで低層階を賃貸・高層階を分譲で売っているのをよく見ます。
部屋の面積を刻み気味にした投資用の部屋は下層階への設定が常識的です。
(ある程度狭い部屋でないと面積あたりに同じだけ家賃をもらおうとすると、家賃が
あがってしまって相手を選ぶようになるので賃貸回しには不利になります都心の
超1等地などで広ければ広いほど有利という地区もありますが)
南向きであるとか、高層階であるとかの新築時販売に価格差を生む要因は、賃貸での
価格にはほとんど影響を与えません。(大抵のマンションで家賃の想定表を貰えますが
野村のだしている上の階は賃料も高いってのはあんまり信用できないなぁ。三井なんか
のは結構正直だと思う)
賃貸で探す人は、自分が探した経験があればわかりますが、駅距離と広さ間取りしか
見てないですからね。
買って住もうか、借りて住もうかというのは、不動産に関わる人は皆考えることです
から、同じ部屋を自分で買って住む
(いわば、自分を借り手として”大家”をやるようなものですね)
か、借りて住むかのどちらが得かという話になりますので、中古マンション価格は、
とくに築年数が浅い場合には、賃料の何倍といった形に収斂していきやすいものです。
(最近は雑誌でも、年間賃料の何倍で買えるかというPER方式での表記が珍しくなく
かつ、どこでも20-25倍程度に収束していく傾向がある)
自分のマンションの近隣に70-80㎡での多数の分譲マンションの賃貸物件がある人は、
1㎡あたりに直してみましょう。その相場を自分のマンションが築年数が新しい場合には
すこし焼き直して(時点補正といいます)1㎡あたり1割程度足し算してみましょう。
大体会っているはずです。うちのマンションでは1㎡月2300-2500円程度ってなとこかな。
築浅の中古物件の価格はおおむねその200-250倍
ーざっと20年で中古の購入価格に等しくなるー に決まっていきます。
高く売られたから中古も高いわけではないのはプチバブル2007年頃の新築物件の
中古価格が軒並み安いことからわかります。あくまで利用価値と、年数で価値が減っていく
ところから価格が決まるわけで、周囲の多数の物件との兼ね合いで相場が形成されて
いくので、1マンションだけ別格の価値をキープするのは、その地区ナンバーワンで、
あー誰でもあの。。。ってマンションでなければ不可能。
中古物件としての価格には、階数や、向きは全く関係ないとはなりませんが、差額は
新築時よりもずっと小さくなります。
その5その6で、マンションの全戸平均としての成約が見込める価格の調べ方などを
書いてきました。平均すれば、その成約見込み価格に買主の値引き分程度を予め
のっけて”売り出す”のが妥当ですが、向きや、階数によって相場感には補正が必要です。
(1)部屋のバルコニー方向の向きに南・東/西などの差がある場合は、
南向きの人はやや安めに、東・西向きなどの人はやや高めに
(2)”これとは別”に、階数が低層階の人はすこし高めに、
高層階の人は少し安めに、
(3)90㎡を超えるような人は別途やや弱気に
値段つけしないと、早期には成約しにくいです。
とくに築年数が浅くて相場観がないとどうしても購入した値段を意識してしまうもの
ですが、相場は買う人が決めるもので売る人が決めるものではないですから。
なんで、新築時の価格の差が反映されにくいのかについては、マンションの新築時の
販売価格(定価)はどのようにして決まっていたかを知っておく必要があります。
その10に続く。