このエントリは便宜上、
『ボーダーライン(境界性人格障害)の真実』をテーマにしていますが、
長期連載中の『統合失調症』の一エントリでもあります。

しかもとても重要なエントリです。

前回までのエントリで、
妄想性人格障害≒境界性人格障害とお話しました。

これから考えると、
妄想性人格障害(≒境界性人格障害)→妄想性障害→妄想性統合失調症
と言う第2の統合失調症の発症ルートが浮かび上がるとお話しました。

確かにこれは有力な説と言えそうですが、
境界性人格障害や妄想性人格障害のかた全員が、
やがて統合失調症になることはありません。


一部のかたは境界性人格障害から統合失調症を発症するのです。
では、
何故このような個人差が生まれて行くのでしょうか。

それは私は境界と言う言葉がその鍵を握っているのだと思います。



☆境界性人格障害の境界とは何か

境界性人格障害と言う言葉は、
ボーダーライン・パーソナリティー・ディスオーダー
(borderline personality disorder)
と言う英語の病名を訳したものです。
(近年では人格障害をパーソナリティー障害とも言います。)


医学書を読むと境界性人格障害の境界とは、
『精神病と神経症の境界』
と説明しています。

しかし、
現代では境界性人格障害は精神病と神経症のみならず、
うつ病などの気分障害とも関連が深いとされています。

少し詳しく境界性人格障害の病態を見ると、

①時に幻覚や幻聴や妄想などが見られ、
現実検討能力が阻害されてしまいます。
治療抵抗性が強く治療者を疑い嫌う。

→これは精神病的です。


②飽くなき理想の追求から、
心配の完全なる排除や、
自分の行動の障害の完全な排除に陥り、
『不可能を可能』とする認知の偏りに悩まされる。
治療に協力的で治療者に過度の期待をする。

→これは神経症を思わせます。


③虚しさやユウウツを抱えやすい。

→これはうつ病を思わせます。


④時に通常の人以上の適合力を見せ、
素晴らしい活躍を見せることがある。

→これは健常です。


このように、
カメレオンのように変幻自在に病態を変えてしまうのが、
境界性人格障害の特徴なのです。



では、
何故このような状態になってしまうのでしょう。


$心理カウンセラーのブログ-境界性人格障害の境界
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私は長年、
精神病と神経症とうつ病と健常の境界の意味を、
完全には捉えきれていませんでした。

つい先日ふと上記の図が思いついたのです。

図の内容を説明すると、
真ん中が『健常』で、
上が『統合失調症』です。
左が『神経症』で、
『うつ病』は右ですね。

そしてそれらを繋ぐように、
健常の周りを取り囲み、
健常と各病気の境界に位置する赤いラインが、
境界性人格障害を表しています。

精神病も神経症も現代では廃止された言葉ですので、
便宜上、精神病は統合失調症と言うことにしました。

神経症はそのままですが、
簡単に言うと、
社会(社交)不安障害、全般性不安障害、
強迫性障害、気分変調性障害などを、
神経症と言うと思って下さい。
(便宜上ですね。突っ込み禁止。)


変幻自在に病態を変えてしまう特徴を持つ境界性人格障害は、
統合失調症、うつ病、神経症などの病気を、
グルグルと巡っているようなものです。


(図中の赤い矢印

そして、
健常よりも各病気の近くに位置しますから、
正に境界線上をグルグルと回っているのです。



これが境界性人格障害の境界の正体でしょう。



☆境界性人格障害のかたが境界を超えるとどうなるか

カウンセリングをしていると、
頻繁に境界性人格障害の方とお話するケースがあります。

その中で特に印象的なのは、
確かに境界性人格障害だったのに、
やがて統合失調症になってしまうケースがあるのです。

しかし、
境界性人格障害の全員のかたが統合失調症にはならないでしょう。

また、
図を見て下さい。
境界性人格障害の方の中には、
境界で踏みとどまれずに、
その外側の病気の領域に入ってしまうかたがいるのです。
(図中、青い矢印で示しました。)

勿論、
ある方は神経症により近づくでしょうし、
ある方はうつ病などの気分障害に近づくでしょう。
そして、
ある方は統合失調症に近づくでしょう。

(実際、境界性人格障害は気分障害と関連が深いと言われています。)

確かに境界性人格障害から統合失調症を発症するかもですが、
境界性人格障害から健常になる可能性だってあるのです。



また、
これは境界性人格障害でより顕著になりますが、
健常なかただって統合失調症になるかもです。

実際にある調査では、
○年間大体5%前後のひとが幻聴を体験している。
○生涯で10%~25%のひとは一度は体験する。
と言われています。
25%つまり4人に1人と言う驚くべき確率で経験していることになります。

また、現実感がなくなるいわゆる【離人】も、
健常なかたでも体験することがあります。

これらのひとが全て統合失調性のものと言い切れませんが、
【一過性発症→自然治癒】と言うかたがかなり居そうで、
そう考えると、
統合失調症はそれほど特別なものではないと言える面もありそうです。



境界性人格障害の患者さんには、
今回のエントリは重要なエントリでしょう。

統合失調症になるリスクが高まる。
なんて聞いたら心配でしょう。

では、統合失調症の発症は食い止められるのでしょうか。

統合失調症の発症予防は、
現代の医学においても、
かなり議論がされていますが、
未だ結論が出ていない大問題です。

今世紀末くらいには。。。

なんて言われていますが、
そんな先のことは待てませんよね。

しかし、
境界性人格障害の状態で、
どんな病気を発症しても非常に辛いです。

統合失調症でも境界性人格障害の『疑心暗鬼』が、
妄想と言う症状を激しく煽ってしまいます。

そう考えると、
現代においての境界性人格障害の患者さんは、
より楽に生きられるように、
自分の境界性人格障害の特徴を理解して、
『自分で自分に気が付き』、
自分で自分を見つめてコントロール出来るようにするべきです。

『自分で自分に気が付く』

セルフカウンセリングにも通じる手法ですが、
どんなメンタルの病気でも、
治療を進めるには必要な能力です。

『自分で自分に気が付いた時』

境界性人格障害の苦しみはもう半分くらい解決します。

そして、
気が付いたことを元に行動を重ねると、
それが自信に繋がり、

『自分を自分で信用出来る。』

ようになるのです。

境界性人格障害のかたは、
出来うるだけ治療をして行く。
それが何を置いても最善の策なのです。



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