前回のエントリで統合失調症の教科書的な説明は終わりました。
読んでみて思ったと思いますが、
統合失調症と言う病気は、
非常に多彩で、
非常に神秘的で
症状の範囲も広く、
分かり難い病気であると言うことです。
しかし、
少し視点を変えると、
統合失調症は理解しやすい病気に見えるのです。
今回から暫くは、
統合失調症の本質的な特徴を、
分かりやすい視点で考えて行きたいと思います。
☆『知、情、意』の統合の障害である。
この『知、情、意』と言うのは、
脳の基本機能を言葉で表したものです。
簡単に言うと、
感じて、考えて、行動する。
と言うことですね。
難しい定義では以下のように言われています。
『知・情・意』とは、食欲や性欲などの本能と違って、
人間だけがそなえている高等な精神活動である。
知とは理解し判断する知能、
情とはよろこびや悲しみの感情、
意とは人間の行動を動かしていく意志である。
(但し、人間だけと言うのは議論の余地があります。)
統合失調症は、
これら『知、情、意』が統合し難くなる病気であり、
統合失調症と言う病名もここから来ています。
では、
『知、情、意』それぞれを細かく見て行きましょう。
①知、 知覚が行なわれる。
例えば、
バラの花が目にうつったとき、
脳のなかでは、
それが花であり、
その花がバラであるという判断は、
まだ十分には起こっていません。
鏡に映る映像のように花の姿が意識にのぼっているだけなのです。
これを『素朴な知覚』と言います。
②情、判断され認識される。
『素朴な知覚』は、
過去の記憶に照らし合わされて、
はじめて、
いま映っているのがバラの花で、
赤い色をしているということを理解して判断します。
この段階から質感(クオリア)を感じることが出来ます。
③意、意志が動く。
赤いバラの花だと判断がつくと、
見ている人間の個性にしたがって、
バラを撮影しようとか、
切り取って花びんに生けようという意思の発動が起こります。
④上記の『知、情、意』によって実行される。
この意志にしたがって、
それにかなった行動を起こそうとします。
そして撮影したり、
切り取るといった行動が起こします。
脳をコンピューターに例えると、
『知、情、意』は演算の段階で、
この実行の過程が『演算の結果』だと言うことも出来ます。
⑤想像したり推理する。
上記の『知、情、意』→実行の過程では、
バラの花をもとにして、
恋人のことを想像したり、
過去の体験から、
においの良いことを期待したり、
虫が付いていないかと気をまわしたりします。
これらはすべて人間だけに、
とくに発達し、
下等な動物では見られない心の働きです。
☆脳が生み出す質感 クオリアの不思議。
上記の例は、
実際に目の前にバラがあるケースですが、
我々の脳は想像するだけで、
その物体の質感を思い起こすことが出来ます。
また、
恋人と二人で見た美しい夕陽
このようなシチュエーションで感じる、
言葉で表し難い繊細な感情も起ります。
ひよこを手の平にのせて、
フワフワとした柔らかく、
儚い質感も想像したり感じたりすることが出来ます。
実は、
これらの繊細かつ不思議な感覚でさえも、
我々の脳が作り出しているのです。
この質感のことをクオリアと言います。
統合失調症からは離れてしまうのですが、
この質感を感じ難い状態の精神症状があります。
それが『離人症(離人感)』です。
☆『知、情、意』が統合されないとは。
例えば、
統合失調症の患者さんでは、
発症してから料理が苦手になるかたは多いですよね。
それは知的障害のように、
個々の作業や知識は失われていないのです。
↑重要
統合失調症の患者さんが料理が苦手になるのは、
統合機能が上手く働かないからなのです。
実は、
料理と言うのは脳に結構な負担がかかるのです。
何故かと言うと、
先ず、ご飯を炊いて、
炊き上がる前に味噌汁とおかずを作る。
味噌汁が煮える前に、
おかずの下ごしらえをする。
おかずが出来る前に、
洗い物を済ませておく。
冷めない内に、
食卓に並べて、
家族を呼ぶ。
尚且つ、
食事を始める時間を逆算して、
作業に取り掛からなければならない。
などなど、
逆算や同時進行的な作業が非常に多いので、
脳の統合機能が不調だと上手く出来ないのです。
勿論、
ご飯を炊く。
味噌汁を作る。
おかずを作る。
盛り付けする。
家族に知らせる。
と言う個々の作業は問題がないのですが、
これを上手に段取り良く組み合わせることが苦手になります。
そうです。
個々の作業は知性の問題ですよね。
統合失調症は知的障害はないので、
個々の作業は忘れていないのです。
しかし、
その作業を同時進行したり、
場当たり的に計画を変えたり、
逆算して出来栄えや完成時間を考えたりするには、
その個々の知識を、
上手に組み合わせて行くことが非常に重要です。
つまり、
この上手な組み合わせこそが脳の統合機能なのです。
脳の統合機能が不調になってしまう病気が、
統合失調症と言う病気の正体なのです。
次回ですが、
この脳の統合機能が不調で起ってしまう不都合を、
更に広げて考えて行きます。
※この『知、情、意』や『クオリア』についてもっと知りたいかたは、
最近は脳科学ブームとも言える状態なので、
様々な本が発売されていますから、
それらの本を読んで勉強してみると大変に役立つと思います。
お勧めは
意識とはなにか―「私」を生成する脳 (ちくま新書)/茂木 健一郎
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脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説/前野 隆司
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非常に多彩で、
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今回から暫くは、
統合失調症の本質的な特徴を、
分かりやすい視点で考えて行きたいと思います。
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この『知、情、意』と言うのは、
脳の基本機能を言葉で表したものです。
簡単に言うと、
感じて、考えて、行動する。
と言うことですね。
難しい定義では以下のように言われています。
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人間だけがそなえている高等な精神活動である。
知とは理解し判断する知能、
情とはよろこびや悲しみの感情、
意とは人間の行動を動かしていく意志である。
(但し、人間だけと言うのは議論の余地があります。)
統合失調症は、
これら『知、情、意』が統合し難くなる病気であり、
統合失調症と言う病名もここから来ています。
では、
『知、情、意』それぞれを細かく見て行きましょう。
①知、 知覚が行なわれる。
例えば、
バラの花が目にうつったとき、
脳のなかでは、
それが花であり、
その花がバラであるという判断は、
まだ十分には起こっていません。
鏡に映る映像のように花の姿が意識にのぼっているだけなのです。
これを『素朴な知覚』と言います。
②情、判断され認識される。
『素朴な知覚』は、
過去の記憶に照らし合わされて、
はじめて、
いま映っているのがバラの花で、
赤い色をしているということを理解して判断します。
この段階から質感(クオリア)を感じることが出来ます。
③意、意志が動く。
赤いバラの花だと判断がつくと、
見ている人間の個性にしたがって、
バラを撮影しようとか、
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④上記の『知、情、意』によって実行される。
この意志にしたがって、
それにかなった行動を起こそうとします。
そして撮影したり、
切り取るといった行動が起こします。
脳をコンピューターに例えると、
『知、情、意』は演算の段階で、
この実行の過程が『演算の結果』だと言うことも出来ます。
⑤想像したり推理する。
上記の『知、情、意』→実行の過程では、
バラの花をもとにして、
恋人のことを想像したり、
過去の体験から、
においの良いことを期待したり、
虫が付いていないかと気をまわしたりします。
これらはすべて人間だけに、
とくに発達し、
下等な動物では見られない心の働きです。
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上記の例は、
実際に目の前にバラがあるケースですが、
我々の脳は想像するだけで、
その物体の質感を思い起こすことが出来ます。
また、
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このようなシチュエーションで感じる、
言葉で表し難い繊細な感情も起ります。
ひよこを手の平にのせて、
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