「もう無理!」
そう思ったことは、誰にでもあるだろう。
私も、仕事や人間関係、恋愛などで多々ある。

そして、私も相手に「もう無理!」と思わせてしまったこともある。

私は文通が好きだ。
メールやSNSがこれだけ流通していても、自分の字で書いた手紙、そして、相手のためにレタセを選ぶこと、切手を選ぶことはとても楽しい。むしろ、メールよりこちらの方がのんびりしていていいと思うくらいだ。昭和だねぇ。
メールで一番無理と感じてしまうのは、すぐに返事を催促する人との交流。一番短かった人で十五分。メールが来たとき私はアイスを食べていた。返事をしていたら、アイスが解けてしまう。それに、アイスを食べてる十五分くらいは待ってくれるだろう、と、ゆっくりアイスを味わった。そうしたら、アイスを食べ終わる前に「返事来ないけどなんで?」という趣旨のメールが来たのだ!その人とは縁が切れてしまったけど、「もうちょっとメールの返事を待ってくれてもいいんじゃないの?」の一言を言ってやればよかった。
尤も手紙でも、3週間くらいで「なかなか返事が来ないので、どうしたのかなと思っています」という手紙が来ると、「もう無理!」となってしまうけどね。
あとは、手紙、メール、SNSに限らず、私を深ぁぁく傷つけるような人とは、無理だね。

しかし。
今まで自分ばかり被害者みたいに書いてきたが、私もいろんな人に「もう無理!」と思わせて、縁を切らせてしまったのだろう。
もう三十年も前になるけど、とあるFM局のアナウンサーから、
「あなたみたいな失礼なことばかり書いてくる人は、もう葉書やFAXを送らないで下さい、紙の無駄が増えるだけですから。残念ですが、さようなら」
という葉書をもらったことがある。
私は泣きながら、なんて酷いことを言う人なんだろうと思った。
でも、今思えば、彼もまた、私のなれなれしく厚かましい葉書やFAXを見て「もう無理!」と思ったに相違ない。
つまり、彼は被害者。私が加害者だったのだ。
でも、私は自分が被害者としか思えず、彼との冷戦は二か月続いた。
私が他の番組宛てに、
「私のFAXは紙の無駄だとある人に言われたから。FAXは控えていたけど、どうしても伝えたいことがあってFAXしました」
と送ったら、後で彼に言われた。
「僕が悪いみたいな言い方辞めてくれる?あなたが失礼なことばかり書いたのが原因でしょ」
その時も泣いたけど、今思えば全くその通り。親しき中にも礼儀あり、ということをすっかり忘れてしまった私に非があったのだ。
彼も彼なりに悩んだと思う。私からのFAXを読んで傷ついたことも多いと思う。だけど仕事だから我慢していたんだと思う。
それがある日の私の失言が原因で「もう無理!」となってしまったのだろう。
その後彼とは、「アナウンサーとリスナー」という関係だけで、私も気を付けてメールを送るようにして、和解したといえばした。
だけど、彼も仕事だから、一人のリスナーを局全体でハブにすることはできないと、妥協してくれたのかもしれない。
因みにこのローカル局では、昔よく、リスナーの集いなるものをしていたが、この一件があってから、私はリスナーの集いに参加しなくなった。彼も参加していたからだ。

ちょうど同じ時期、私は同人仲間全員を失っていた。これも、リーダー格の子に私が失礼なことばかりしたり言ったりしたせいで、「もう無理!」と思わせてしまったからだ。
同人仲間とリスナー仲間、同時にいっぺんに失ってしまった私は、絶望した。そして反省した。
同人については、毎日泣いて過ごしていた私を見かねてか、ある日母が言った。
「一人で続ける覚悟ができないのなら、辞めてしまいなさい」
私がいつも、たった一人で相方募集もせずイベントに参加しているのは、この言葉も理由の一つである。

生きていく限り、「もう無理!」と思ってしまうこと、思わせてしまうことは続くと思う。
でも、そういうのは最小限にしたいね。