福島第一原発、まだまだ解決に時間を要する状態。現場で作業されている方、長期に渡る避難生活をされている方、本当に大変だと思います。


しかし、、、どうしてもひとつだけ腑に落ちないことがあります。

それは、あの原発が40年前に造られ、今も動いていた、ということ。

そして、その事実よりも、「原発が危険」という’そもそも論’が世に横行している、ということ。

それと、一番身近にある「放射線照射医療機器」については誰も怖がらない、ということ。


まず一つ目から。40年前、私はまだ生まれていません。(もうすぐ生まれるんだけど・・。)

仕方ないので、私の知っている時代について語ります。30年前、それはどんな時代だったのか。

昭和が終わりに近づく頃。

家庭用のパソコンはなく、今は当たり前の「Windows」というものもなかった。DOSの時代。マウスでクリック、なんてしない。もちろんメールもない、インターネットもない。

携帯電話なんてもちろんなくて、家庭の電話は黒電話。プッシュホン式の電話はなく、世の中にある公衆電話は赤いダイヤル式。(ピンクの公衆電話もあったな。)

CDやDVDもなく、カセットテープが主流だけど、ラジオから録音するには2台のラジカセが必要で、1台でラジオを鳴らし、もう1台でその音をカセット録音(つまり車が通る、犬が吠える、といった「事件」が発生すれば台無しになる)という時代。各家庭にあるのはレコード。黒い円盤の一番外側にそっと針を落とす。変なとこに針を落とせばキーキー言って最悪・・・。


ブラウン管テレビはリモコンではなく手回しでガッガッガとチャンネルを回し、家庭にエアコンなんてものもない。

電子レンジもまだなかったな・・・。

自動改札?SUICA?とんでもない。切符を買って、チョキチョキしてもらう。乗り越しは電車内で車掌さんを捕まえてやってもらうか、駅で並ぶ。

電車にもエアコンなんてない。(もちろん車にも。)夏は窓を開け、帽子を飛ばさないように気をつける。

あー、車の窓は「パワーウィンドウ」ではなくグルグルとレバーを回して開ける。高速の料金所の手前で、絶妙なタイミングでレバーを素早く回して窓を全開にしながら減速し、お金を払い、又レバーを素早くグルグル回しながら窓を閉めて、同時に加速しながら後ろや横にいる車に目配せして車線に戻る。あんなに手と足と目が同時にバラバラに動くものかと思いながら、運転する父を見ていたな・・・。


そんな時代に作られた原子力発電所が今も使われていて、新しく作る原発について、それと「同じ」という前提で世の中は反対している。「次世代原発」とかでググれば宇宙語かと思うような資料も出てくるし、それが40年前とは比較にならない技術力を持っていることは容易に想像できる。

(たかが携帯電話でさえ、ものすごい技術革新をしているのだから。)


新しい原発を作るのを反対することで、古い原発を使い続けなければならない、としたら、それはもっと恐ろしいことではないかな。

日本は数々の自然災害と共存し、そして対抗してこれまで生き抜いてきた。

建築耐震基準は世界に例を見ない。新築の家に住んで、大地震でこの家は崩れるのではないか、と心配することはほとんどない。(家具の倒壊は怖いけれど。) 六本木ヒルズが、東京都庁が、汐溜のビルが、日本中に無数にある超高層ビルが地震で倒れる心配をする日本人はあまりいないだろう。

地震で怖い火事、これを防ぐために、ガスは地震を感知すると供給停止するように設計され、火を使うストーブには転倒時に自動停止する機能が付けられた。

こんなに地震の多発する国で世界一高いタワーを建てる日本。

40年という歳月が、どれだけの技術を向上させたか、どれだけ日本が進化したか。


現在の最新技術を持った原子力施設がどんなものか、福島第一原発とどこがどんなふうに違うかリサーチして報道してほしい。それを知ったうえで、改めて脱原発がいいのか、何が環境に良いのかを議論したいと思う。

これから造るのがCO2を排出する火力でいいのか、様々な健康被害が問題視される風力でいいのか、それとも環境破壊の代名詞とも言われた水力でいいのか。まだまだ技術の発展途上で発電不足、不安定供給となる太陽光でいいのか。電気に依存する生物が、生きていくうえで妥協しなければいけない点、譲れない点、様々な観点で考えるべきだと思う。


そして2番目の「放射線照射医療機器」たるもの。原発は恐れても、その辺にゴロゴロあるこうした機械は怖くないのが不思議。私が治療に使った機械、医療機器だから放射線量なんてたいしたこと無い、と思います?

私が治療のために浴びた放射線量、約12シーベルトですよ。ミリに直すと1万2000ミリシーベルトです。それだけの線量を出せる機械、つまり核医療機器が、ガン治療のできる大学病院クラスの病院にはあるのです。(マックスでいくつまで出せるか知りません。)

’放射線治療’ですから、もちろん、その機械の中にあるのは放射性物質。つまり、あの機械が地震などで万一吹っ飛んだら、やはり放射能漏れを起こすのではないでしょうか。核反応を起こさせるのですから、それをどこまで制御できるのかは知りません。おそらく停電しても問題ないように出来ていると思います。

ちなみに、私が使った新品に近い、と思われる機械には「TOSHIBA」と大きくロゴが書かれていました。原発を作る会社は、こうした医療機器も作る、ということです。

病院と原発、どちらが安全な基準で建てられているかは知りません。どちらが、、というのが可笑しいかもしれない。

原発に比べれば、医療に使われる機器が出す放射線量などたいした量ではない、というのも事実ですが、病院のそばに住む、ということはそれなりのリスクもある、ということだと思います。そして、原発は全国に58基、それに比べて放射線治療のできる病院は・・・。もちろんこうした機器の廃棄は放射性物質の廃棄として特別な機関で処理されるとのこと。


小型の原発を無数に作る、という案にも噛み付いた世論があったので、あえて病院のことを書いてみました。


ちなみに今、放射性物質を体内に埋め込む、というガン治療もあるそうです。

交通事故などで死亡した場合、その部分を解剖して取り出すことにより、解剖医が被曝するという事態を避けるため、埋め込んだ場所には目印をつけておくのだそうです。

又、当然火葬前にも取り出すのだそうです。


私たち、知らず知らずに核と共存しているわけです。


もちろん、発電に何の害もリスクもなく、今までと同じように使いたいだけ電気を使える技術が開発されるのが一番幸せですが、現時点ではそれは夢物語でしょうかね。