その時、わたしはバス停にいました。
バスを待っているわたしのすぐ近くで、一組の親子が楽しそうに笑いながら、追いかけっこをして遊んでいました。
お父さんの方は、50代後半から60代前半。
男の子の方は20代前半でしょうか。
男の子には軽い知的障害があるようでした。
弾けんばかりの笑顔
青空に響く笑い声
入り混じる軽やかな足音
回りとは全く違う空気感が、彼らを取り囲んでいました。
きらきらとした輝きが、そこにはありました。
わたしは、訳も分からず胸がいっぱいになって、涙がこぼれるのを抑えることができませんでした。
彼らも毎日そんなに笑顔で暮らしているわけではないでしょう。
こんな風に笑顔で追いかけっこができるのも、ごくまれなことなのかもしれません。
その後も、時々その時の光景を思い出すのですが、そのたびに泣けてきます。
今、ブログを書いていても、やっぱり、また泣けてきます。
あの時の輝きは、愛の輝きだったのだと思います。
命の輝きだったのだと思います。
お父さんの、息子さんに対する愛。
息子さんの、お父さんに対する愛。
そして、彼らの命の輝き。
この時の光景は、わたしの人生の中で最も美しい光景です。
そして、今後も、これ以上美しい光景に出会うことはないだろうと思うのです。