≪内頭蓋底≫
頭蓋腔の底をなし、前頭蓋窩、中頭蓋窩、後頭蓋窩の3部からなる。
内頭蓋窩には大小それぞれの孔、溝があり、脳神経、動脈、静脈の通路となり、外頭蓋底、眼窩などへと連絡する。
【前頭蓋窩】
前頭骨の眼窩部、篩骨の篩板・鶏冠、蝶形骨の小翼からなる。
前頭葉を入れる。
【中頭蓋窩】
蝶形骨体・大翼・小翼、側頭骨からなり正中部に間脳、両側に側頭葉、後頭葉を入れる。
●トルコ鞍
中頭蓋窩の中央の高まりをいう。
中心部にあるくぼみを下垂体窩とよび、脳下垂体を入れる。
トルコ鞍前部の隆起を鞍結節、後部の隆起を鞍背とよぶ。
トルコ鞍前端に視神経交叉溝が存在し、その外側に視神経管があり視神経(Ⅱ)、眼動脈が通る。
●上眼窩裂
小翼、大翼の隙間にあり、動眼神経(Ⅲ)、滑車神経(Ⅳ)、三叉神経(Ⅴ)の第1枝・眼神経、外転神経(Ⅵ)、上眼静脈の通路となる。
大翼根部には前から順に正円孔、卵円孔、棘孔が存在する。
●正円孔
三叉神経(Ⅴ)の第2枝・上顎神経が通る。
●卵円孔
三叉神経(Ⅴ)の第3枝・下顎神経が通る。
●棘孔
中硬膜動脈が通る。
●錐体
中頭蓋窩、側頭骨部の錐体状の大きな隆起。
前内側を錐体尖とよび、頚動脈管(内口)の縁の一部を形成する。
錐体尖内側には破裂孔とよばれる間隙(蝶形骨、側頭骨、後頭骨の境界部)があるが、生体では軟骨によって埋められる。
●頚動脈溝
頚動脈管に続き、内頚動脈を通す。
【後頭蓋窩】
主に後頭骨からなり、外側は側頭骨、前方は蝶形骨からなる。
鞍背から大後頭孔にかけてのスロープ状の部位を斜台とよび、その途中に蝶後頭軟骨結合がある。この正中部に中脳、橋、延髄を入れ、両側には小脳を入れる。
●内耳孔
錐体後斜面にあり、顔面神経(Ⅶ)、内耳神経(Ⅷ)、迷路動脈が通る。
●頚静脈孔
錐体小脳面の下縁と後頭骨前外側部の間にある孔。
内頚静脈、舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)、副神経(Ⅺ)が通る。
●大後頭孔
後頭骨底部にある大きな孔。
延髄、椎骨動脈などを通す。
●舌下神経管
大後頭孔の両側に位置し、舌下神経(Ⅻ)を通す。
≪外頭蓋底≫
下顎骨、舌骨を除いた頭蓋の底面をいう。
【前部】
外頭蓋底前部に骨口蓋があり、主に上顎骨、後端を口蓋骨で形成する。
両骨は横口蓋縫合で結合する。
骨口蓋の正中部は正中口蓋縫合により結合し、縫合の前方部には切歯孔がある。
切歯孔に左右の切歯管が開口し、鼻口蓋神経を通す。
骨口蓋後外側隅に大口蓋孔(大口蓋神経、大口蓋動脈を通す)、その後部に小口蓋孔(小口蓋神経、小口蓋動脈を通す)が開口する。
頬骨突起の下端には下顎窩があり、下顎骨とともに顎関節をつくる。
【後部】
後部中央には大後頭孔があり、延髄、椎骨動脈などが通る。
大後頭孔の外側前部には後頭窩があり、第1頚椎(環椎)と環椎後頭関節をつくる。
後頭窩の基部を口内方から前外方に向けて舌下神経管が通る。
また、後頭窩後方には顆管が存在し、導出静脈が通る。
●乳様突起
後頭窩外側に突出する突起。
胸鎖乳突筋の停止部となる。
●乳突切痕
乳様突起の内側部。
顎二腹筋後腹が起始する。
●茎状突起
乳様突起の前内側にある突起。
茎突下顎靱帯、茎骨舌骨靱帯、茎突舌骨筋、茎突咽頭筋などの起始部となる。
●茎乳突孔
茎状突起と乳様突起の間に開く孔。
顔面神経(Ⅶ)の出口となる。
最後端部中央に外後頭隆起があり、頭部と頸部の境界線上の点となる。
外後頭隆起から側頭骨乳様突起に向かい孤状の隆起線があり、これを上項線とよぶ。
下方には下項線がある。
にほんブログ村