立場が逆転したら?「車いすが健常者・二足歩行が障害者」の世界が体験できるレストラン | カイとわたしの場合~オーストラリアx自閉症xシンプルライフ

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高校生になった自閉症児カイと、シングルマザーのわたし。オーストラリアはメルボルンにて、ふたり暮らし。そんな私たちの毎日を綴っています。

明日の仕事用弁当も準備できました。
 
冷蔵庫の残りものチャーハン+自家製サンバル。
 
2月も残り2週間、後半もお弁当生活続けま~す。
 
 
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昨日とても面白い記事を見つけました。
 
何やら画期的な試みをしているレストランがあるそうです。
その名も、バリアフルレストラン!!
 
こちらのリンクから詳細が読めます。
 
 
 

「車いすが健常者・二足歩行が障害者」の世界が体験できるレストランに行ってきた

もう理不尽すぎて泣きたい


こんな社会だったら、私、引きこもってしまうかも……。

 

 もしも二足歩行者がマイノリティーだったら――そんな車いすユーザーが多数になった社会を疑似体験できるレストランに行ってきました。

自分の足で歩ける人は、このレストランに入店した途端に障害者として扱われます。

筆者はあまりにも胸苦しくて、途中で泣きたくなりました。

 

どんな体験だったのか、レポートしていきましょう。

 

バリアフルレストランへようこそ!

 

 まず、入店前に「車いすユーザーが暮らしやすい環境とは?」を考え、記入するよう促されます。あとで役に立つので、みなさんもここでいくつか考えてみてください。

筆者は「段差がない」「商品棚が低い」……などなどを紙に記入しました。

 

 そして、レストランに入店します。

レストランのオーナーを務めるのは車いすYouTuberの寺田ユースケさん。

「いらっしゃいませー」と出迎えてくれます。

 

ところが入口が低い。

二足歩行者はかがまないと入店できません。もう少し高くしてくれればいいのに……と思いますが、車いすユーザーが多数の世界では、これがオシャレで流行ってるとか、天井を高くするとコストがかかるとかで、きっと高くする理由がないのでしょう。

 

 屈んで入店しようとすると、オーナーに「介助者の方はいないんですか?」と聞かれました。反応に困っていると、オーナーはけげんそうな顔をします。

そして店内に案内されました。

 

 店内の天井の高さは170センチ。

身長が低い筆者は気になりませんが、背が高い方は大変そうで、背中を常に丸めています。頭をぶつける危険がある人には、ヘルメットや車いすを貸し出していました。

 

 料理はビッフェスタイル。腰くらいの高さのテーブルに料理が置かれています。

全てが車いすユーザーにピッタリな規格。

座席にイスはなく、二足歩行者は立食です。

「食器を持ち上げてはいけない」という謎ルールもあるので、背が高い人は腰をかがめて食べていて、本当に大変そうでした。

 

 車いすの人は車輪を漕ぐときに手が汚れるため、テーブルにはアルコールスプレーとおしぼり2枚が置いてあります。

車いすの人が、普段困るのはドリンクバーなんだそうです。

フタがないドリンクを車いすにセットして運ぶとこぼれてしまいます。ですので、バリアフルレストランではフタができるコップが標準になっていました。

 

 筆者の個人の感想でいえば、天井やテーブルが低いといったハード面は受け入れられるものでした。

イスがないのが標準な社会なら、折りたたみ椅子を持ち歩けばいいと思いましたし、筆者は身長が低いのでテーブルが低いのなんて普段の生活よりも使いやすかったくらいです。立ち食いそば屋の高いテーブルより、こっちのがマシと思うくらい。

 

けれども、なんともしがたいと感じたのは人の対応でした。

 

 食事を始めようとすると、オーナーが近づいてきました。

テーブルの上にあるアルコールスプレーを指さし「これ、ちゃんと使えてますか?」と聞いてきます。

何を聞かれているのか理解できない二足歩行者。

戸惑いながら「大丈夫です」と答えるも、オーナーは「お手伝いしますよ。大変でしょ」とスプレーを手にプシュプシュしてくれます。

「あ、どうも……」と接客された二足歩行者の方はあっけにとられていました。オーナーは、障害者である二足歩行者に過剰なほど気配りしてくれていたようです。

 

食事中、突然スタッフが「中腰で食べてください」と声を張り上げます。

二足歩行者たちは何を言われているのか理解できず、そのまま立って食事を続けます。すると、何回も何回も「できればかがんでいただけませんか?」と声かけされます。

でも、なかなか中腰にはなりません。スタッフはだんだん切れ気味に。

「全然、中腰になってくれない」とぼやき始めます。

 

 すると、オーナーが駆け付け、スタッフを裏に呼び出します。

裏からオーナーの叱責が聞こえてきます。

オーナー:「対応が雑だよ。正直、僕だって来て欲しくないよ。でも、やんなきゃダメなんだよ。それが優しさだから。

ちゃんとやってください、お願いします。対応が雑すぎます」

スタッフ:「(不満そうに)申し訳ございません」

 

 ぼうぜんと聞いているしかありません。

この騒ぎのあと、オーナーが出てきて「料理いかがですか? 産地直送の玉ネギで……」と接客しに来てくれましたが、どんな顔をしたらいいものやら。

 

 他のスタッフが背後で「対応が雑っていっても、あんまり構えすぎてもさー」「っていうか、今日二足歩行者多くない?」「なんか、イベントでもあんのかなー」と愚痴をこぼしているのが聞こえてきました。

 

モウ、ワタシ、カエリタイデス。

ハード面より人の対応が苦しかった……

 

(続きはこちらから)

 

 

面白いですよね。発想の転換。

 

バリアフルレストランの目的は、「障害の社会モデルの考え方」を直感的に感じてもらうことにあるそうです。

 

 

《障害の社会モデルとは》

社会モデルとは障害者が味わう社会的不利は社会の問題だとする考え方です。障害者とは、社会の障壁によって能力を発揮する機会を奪われた人々と考えます。
たとえば、駅で電車に乗るとします。車いすを使って階段を上れずに電車に乗れないのは、エレベーターがないという障壁のためであり、このようなことが社会によって能力を発揮する機会を奪われるということです。
エレベーターが設置されていれば、1人で2階に行けるので障害を感じなくなります。
一人で外出できない障害者でも、ヘルパー利用など、社会サービスが充実していれば、障害を感じることなく外出することができます。
このように、社会モデルは、身体能力に着目するのではなく、社会の障壁に着目し、電車に乗れないという障害を生んでいるのは、エレベーターが設置されていないなどの社会の環境に問題があるという考え方です。

こちらから内容を抜粋させていただきました)

 

社会モデルの反対が、障がいの医学モデルですね。

障がい者の味わう社会的不利や不便は、個人の障がいの問題という考え。

 

 

このバリアフルレストランでは、障がいの社会モデルを「体感」出来るところに意義があるなと思いました。

 

今まで「健常者」として生きてきた人が、急に「障がい者」として不便な状態を強いられること。
でも普通にしている周りに、障がいのある自分が合わせるように期待されること。

そして、過剰な気遣い・・・。
やさしさって??

頭でいろいろ考えることも出来るけど、こんな風に自分が実際にその立場になってみるというのは、強烈な体験になると思います。

 

 

このバリアフルレストランは、車椅子ユーザーとの立場逆転ですが、自閉症児の親としてはこの自閉症バージョンだったらどうなるかななんて色々妄想してしまいました(笑)

 

 

「お客様、もう少しうるさく騒いでもらえませんか?皆さん奇声発しているのに、1人だけ静かにされると。。。」


「当レストランでは毎日同じものを延々と提供します。バラエティに富んだ食事が食べたいなんて、わがままですよ?」

 

こんなネタなら色々思い浮かびます!笑

 

自閉症こそ、障がいの社会モデルがすごくよく当てはまる障がいだと思うのです。

 

 

この記事にもあるように、このイベントで答えが提示されるわけではないでしょう。

でも、今までと違った視点から障がいについて考えるきっかけになると思います。

 

そこから、本当の意味での「やさしい社会」がつくれるんじゃないかな?

 

 

このバリアフルレストランのイベントは、今年の秋に一般公開される予定だそうです。

 

私も体験してみたいです。店員役をやってみたい!