ハラスメント体験記 被害者編 [17] | 半三本のカンフル日記

ハラスメント体験記 被害者編 [17]

私は出勤時間が比較的早く,9時開始の所を20分前には到着しています.

しかしK社の皆様はまだ出社されておらず,会社は鍵がかかっています.

会社の前で待つ私.

しばらくすると主任が自転車で出社します.

鍵を開け,オフィス内に入る主任.

私も後を追いかけ,挨拶します.


私:  「おはようございます」

主任: 「……」


返事が返ってくることはありませんでした.

すぐそばで声をかけたので,聞こえないはずはありません.

どうしたのだろうと思いながらも,そのままその場を離れました.

何度も声をかけるのは却って失礼と思ったからです.

しかし店頭準備をする間,ずっと主任の反応が気になっていました.

その時私は,主任は忙しくて返事する余裕がなかったのだろうと,無理矢理自分を納得させました.






別の日.


先日も触れましたが,K社では先方まで出向き,機械を納入することがあります.

しかし車に乗れるのは二人まで.他の主任や私は自転車で追いかける事になりました.

掃除していた手を止め,一旦道具を片付け,自転車のカギを取りに行こうとした時――


社長: 「お前何ボサッとしてんねん.主任はもう出るぞ」


――という言葉に慌てる私.

慌てて駐輪場に向かうと,今まさに主任が自転車で出て行こうとしています.

自転車のロックを外し,主任の後を追いかけようと自転車に乗って前を見ると――

主任は既に遠くまで行ってました.

慌てて追いかけようとする私.

しかし先方までの道は狭く,お年寄りや小さな子供も歩いています.

迂闊にスピードを出すわけにもいきません.

ですがこのままでは主任を見失ってしまいます.


気ばかり焦る私.

サッサと先方に向かう主任.

そして間の悪いことに,私は信号に捕まってしまいます.

信号に捕まらなかった主任は,その間も止まることなく進みます.



…一度も止まることなく先に進み.

…一度も振り返ることなく走り去り.

そして私は主任を見失ってしまいました.



私はK社の周辺について詳しいわけではありません.

ましてやK社のお客様の所在地を把握しているわけでもありません.

土地勘のない私にとって,お客様の所へ行くには,主任に先導して頂く必要がありました.

しかし主任は,まるで「お前は後ろについて来ていて当然」と言わんばかりにサッサと行ってしまいます.


信号が青になり.

私は主任を見失った辺りまで自転車を走らせます.

幸い,そこから遠く離れていない場所に見慣れた車…常務たちの乗っていた車がありました.

よかった,見失わなくて済んだ」と,心底安堵したのを憶えています.




しかし,主任のその態度はその時だけではありませんでした.

次の時も,その次も,そのまた次も.

私に声をかけることなく,サッサと移動をはじめます.

結局実習が終わるまでの間,主任はただの一度も,私を待ったことがありませんでした.

ただの一度も,後ろから追いかける私を振り返ることすら,したことがありませんでした.


私は置いていかれそうになるのを必死に追いかけながら思います.

(――少しくらい待ってくれてもよさそうなものなのに)

(――少しくらい気に留めてくれてもいいではないか)

(――どうして待ってくれないのだろう)

虫のいい考えとわかってはいても,そう思わずにはいられませんでした.






主任の,私のことなど気にもしていないかのような素振り.

私は相手にされていないことに,不安を感じるようになりました.

そして不安はいつしか,ある疑問に変わっていきました.

それは本来考え付くはずのない,考えてはならない疑問のはずでした.

私はその疑問を振り切るかのように,ガムシャラに励みました.

店内の掃除,店の前の打ち水,店頭の掃除,駐車場の掃除….

ひたすら雑務に没頭していました.

仕事ができないなりに,与えられた仕事を頑張っていれば,いずれ認めてもらえるだろう.

そんな期待を抱いていました.



その答えは,刻一刻と近付いていました.

ただそれは,私の想定していた最悪のケースだったのです….


その答えって?と気になる方はこちらをクリック♪

人気ブログランキング