ハラスメント体験記 被害者編 [12] | 半三本のカンフル日記

ハラスメント体験記 被害者編 [12]

時は少々遡って,実習開始から2週間ほどした日.

私は常務に言いました.


私:  「常務,お願いがあります」

常務: 「なんや?」

私:  「実習に参加した日付のところに押印頂けますか?」

常務: 「その用紙をいつ提出すんねん」

私:  「○月×日にJ社で中間報告があるので,その時に」

常務: 「じゃあその前日にまとめてするわ」

私:  「わかりました」


そして,○月×日の前日….

私は思い違いをしていることに気付きました.

実は中間報告は○月×日の翌日だったのです.

つまり,その日は中間報告の二日前です.


今日押印を貰えば,中間報告時には一日分出勤記録が不足します.

どうしよう…改めて明日押印してもらうか?

その日,しばらく常務の様子を見ていましたが,押印の話は上がってきませんでした.
それなら明日お願いしようかな…そう考えました.

今から考えると,その考えがそもそもの間違いだったわけですが.


そして翌日の昼休み.

私は用紙を手に,常務に話しかけます.


私:  「あの,常務.押印をお願いしたいのですが――」
常務: 「いや」

私:  「…ぇ?」

常務: 「拒否します」


こちらを見ることもなく,そう冷たく言い放つ常務.
私は自分の非を…何が悪かったのかを理解しないまま,それでも食い下がります.

常務はようやくこちらを向き――.


常務: 「お前なぁ,俺は前に何て言った?」

私:  「中間報告の前日に渡せと…」

常務: 「それは今日のはずちゃうんか」

私:  「それが…私の勘違いで,本当は明日なんです」

常務: 「じゃあそれを言いに来いよ!」

私:  「…はい」

常務: 「中間報告が○月×日やと俺に言った事実!

     それを誤解していた事実!

     誤解していたことを昨日の内に連絡してこなかった事実!

     …全部お前が悪いんやないか!!」


…私には返す言葉もありませんでした.

いえ,そもそも相談するという発想が頭になかったのです.

そんな初歩的な事もしてこなかった私は,もはや悪いとかいう以前の問題でした.


常務: 「俺はハンコ押さへんぞ.白紙のまま向こうに提出しろ.

     言っとくけどな,反省を促す意味もあるんやからな」

私:  「…はい…」


非が私にあるため,そう応える他ありませんでした.

しかし常務の怒りは収まりません.


常務: 「他にもJ社への意見を書くみたいやけどな…俺は書かへんぞ.

     俺は過去10何年も同じような書類を書いてきたんや.

     J社に対する要望もビッシリ書いてきたんや.

     でもお前らは全く改善して来ぉへんかったやないか.

     何も返事して来ぉへんかったやないか.

     書くだけ無駄やろうが!」


私は何も言えませんでした.

言えるはずもありませんでした.

入社して数ヶ月の人間に,10年以上前の事情を話されても,答えられる筈もありません.


聞かされていなかった情報.

知らされていなかった事情.

今回の件はともかく,過去の…他人の件で責められるのは理不尽だ.

そんな考えが私の脳裏をよぎり…慌てて振り払いました.


(――反論は許されない)

(――言い訳は見苦しい)

(――悪いのは自分なのだから)

(――K社に忠誠を誓うと決めたのだから)

(――今,私はJ社の人間として話を聞いているのだから)


何より,私に非があるという前提が,私の口を閉ざしていたのです.




結局,私は真っ白な報告書を提出することとなりました.

自分がミスしたことと,常務を怒らせたこと,そして叱られた内容を口頭で報告して.

後日,担当の方やその上司はK社の社長に呼び出され,私のことで叱られたのだと思います.

その話を聞いた訳ではありませんが,少なくともご迷惑をおかけしたことだけは確かです.


そして今回の件を通じ,「報告・連絡・相談」を徹底しようと心に刻みました.

なんでも常務たちに相談・連絡・相談する.

そうして常務たちの指示・判断を仰ぐ.

そういえば聞こえはいいですが,要は責任を追求されるのが怖かったのです.

実習を強制終了されること…会社をクビになることが怖かったのです.

愚かな事に,そうやって自ら判断力を捨てていったのです….




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