突然の帰省と中国列車移動の思い出。 | travelog

突然の帰省と中国列車移動の思い出。

妹の旦那ニックが明日帰ってくるということを思い出した。お互いなかなかのレアキャラだ。この機会を逃せば次に会えるのはいつになるか分からない。今朝、食料の買い出しに行ってしまったことが悔やまれる。しかし、向こう4日間ちょうど仕事も無いから、突然の帰省を決めた。きっと座席は無いだろうと予想出来てても、自由席で乗り込んだことは無謀だった。新幹線は凄まじいことになっている。乗車率が半端ない。この調子だと高速道路はもっと凄いだろう。世間ではもう帰省ラッシュが始まっている。いいね、なんか民族の大移動みたいで。こういう非日常的なイベントは何故かわくわくしてしまう。

そういえば、北京から四川へ旅した時も中国はお盆だった。それこそ民族の大移動という言葉に相応しかった。チケットカウンターには途轍もない人の列が出来て、律儀に待ってたら一日かかっちゃうよ!と友達は笑って言うと、人混みの中へ分け入って行った。1時間後、彼女は手の中にしっかりと僕のためのチケットを収め、戻ってきた。列車に乗り込むと、想像を絶する環境が待っていた。乗車率は200%を超えている。指定席を取れなかった人々で廊下は占領され、トイレや洗面所のスペースまでにも乗客が侵食している。僕のチケットも席は約束されていない自由席だから彼らと同じ身分だった。これから24時間立ちっぱなし。すると、呆然としていた僕を見兼ねた乗客が三人席をさっと四人席にしてくれた。ここ、座れということらしい。窓を隔てた駅のホームで、良かったね、と友達が微笑んで手を振っている。あの日、三人の友達に見送られた僕は、3週間後にまた会えることが分かっていた筈なのに、多くの人が居る列車の中で泣き出してしまった。中国人の優しさ、寛大さは、彼らの大陸そのもののような気がしたのだ。

その後の列車移動はというと、僕が日本人ということもあってか、おやつにご飯に飲み物まで色々なものを本当に多くの人から貰った。その御礼にといって、僕からは日本のお菓子や雑賀を贈り、歌を唄い、写真を撮った。24時間の列車移動は、辛かったけどとても素敵な時間だった。なにより、20億人の大移動の流れの中に僕もいることが嬉しかった。こんなにも大勢の人々が移動している理由の全ては、その先で待っている大切な人に会うためなんだから。