【必死でも適当に見えるというジレンマ】
前回、患者さん1人あたりにかけられる時間は7~8分(土日)と書きました。
そう聞くと「それならいけるんじゃない?」と思われそうですが、不妊治療の場合、ほぼ毎回内診があるので、内診・着替え・部屋移動の時間も含まれます。もちろん話が終わった後のカルテ記載の時間もここに含まれますので、実際は相当厳しいです。
時にはお一人の患者さんで20分や30分かかってしまうことがありますが、そうなるとその後に地獄が待っています。
大量の患者さんをお待たせしている状況が発生するので、相当焦ります
「患者さんこんなに待たせてる!やばい!急がなきゃ!」という心理が嫌でも働きます。
でも、待たされている側はそんな事情知る由もありませんから、「まだかなあ…」と思いながら待っているわけです。
それで、ようやく呼ばれたと思ったら一瞬で終了。
この状況に当たってしまったら、皆さんならどう感じますか?「えっ!?もう終わり!?」ってなりますよね。
こちらは必死であるにも関わらず「適当な対応をされた」という印象を持たれてしまうという、お互いにとって地獄的構造の出来上がりです。
これは、英の価値を大きく損なう深刻な構造であり、最優先で解決しないといけない部類の問題であると強く思いました。
実際、クレームも少なくありません。
「流行っているクリニックはどこもそんなもんだ」という論調もありますが、それを医療者サイドが言ってしまうと話は終わりで、結局現場は何も変わらないです。
ディズニーランドも、「待ち時間問題」を重視して色々な対策を取ってきたからこそ、あれだけ高い満足度を維持できているんですよね。
最高品質の提供を目指すなら、この問題からは絶対に逃げてはいけないと個人的には思います。
【丁寧な説明にも限界がある!】
不妊治療は、簡単に1回で結果が出るというものではありません。
うまく行かなければ落ち込むし、「今自分はどの地点に立っているんだろう…」という漠然とした不安がつきまといます。ですので、「今自分のいる地点」を俯瞰的に捉えることは、精神衛生上かなり重要だと思います。
そのために、こちらとしても十分に丁寧な説明をしたいという思いはありますが、どれほどの説明を必要とするのかが、患者さんの理解度によって大きく違ってきます。
ここでツラいのが、患者さんとの間に知識のギャップがありすぎる場合です。
例えば、「関数」という概念を知らない相手に「三角関数と建築の関係」を熱く語ったところで伝わるわけがないですよね。でも、それくらいのギャップが普通にあるんですよ、実際。
患者さんの反応を見ていれば、「ああ、これは伝わってないな」というのは分かります。
例えば、「卵胞・黄体とは何か」みたいな基本的なことでも、ちゃんと分かっている方は一割くらいです。ただ、これは冷静に考えると当然なんですよね。普通に生活していたら、まず使わない単語ですからね。
知らない専門用語で説明されたところで絶対に頭には入りませんから、ただ不満だけが残ります。
しかし一方で、診察室でそんなところから説明する時間はありませんから、こちらとしても不完全燃焼感が残ります。こんな時、「ある程度自分で勉強して下さい」と言いたい気持ちがムクムクを湧いてくるのですが、それはこちらのエゴというものです。
じゃあどうしたらいいんだ!...(続く)
(文責:[医師部門] 江夏 国宏)
英ウィメンズクリニックの公式LINEアカウントができました
英ウィメンズクリニックのインスタグラム公式アカウントはこちらから
アメンバー募集中です。アメンバーの申請はこちらから
メッセージはこちらからお送りいただけます。ご質問等もお待ちしております