こう言う体験をするときは、必ずと言って良いほど、誰にも起されたり、着信があったりせずに、ふと目が覚めることが多い気がします。
その日も、夜中に目が覚めました。
この日は、いつものラップ音などはなく静かな夜だったので、いつもより眠りやすく、そのまま眠りにつこうと思い眠ろうとしました。
僕が、眠り始めてそこまで時間はたってなかったと思うのですが、突然目が覚めてしまいました。
そして、布団も被って、絶対に寒くないはずなのに、
ゾゾッーーーー!
背筋が急にぞくぞくと寒くなって、全身の血の気が引く感覚がありました。
耳鳴りがし始めて耳が遠くなり、頭がボーっとしてきて、頭の中で、ノイズ音が鳴りひびきはじめ、次の瞬間、
『うっぅぅぅ』『んぅぅぅ』
うなり声が聞こえてきたのです。
この日はたまたま、いつも寝ているところと違うところに布団を敷いて寝ていました。
いつもは、壁ぞいに布団を敷いて寝ているのですが、この日は、部屋の収納の前あたりに布団を敷いて、ベランダの方に足を向けて寝ていました。
この日、寝ていたところは、寝てはいけないところでした。
僕の部屋は、ベランダの窓から、ベランダを背にして立つと、キッチンが見えます。
キッチンのところに、小さな窓があり、その窓と、ベランダの窓が一直線になっているのです。
窓と窓を直線で結んだラインが鬼門になると、テレビで見た気がします。
僕は、ちょうどその鬼門の中に寝ていたのです。
その鬼門を通る幽霊が僕のことに気づいて、僕のところに来たのだと思います。
幽霊のうなり声と息遣いがどんどん僕の方に近づいてきます。
『ううううぅ』『うううううぅ』
うなり声はだんだんと、自分の枕元に近づいてきて自分の目の前に止まりました。
僕は、目を閉じて「この感覚は気のせいだよな」と思いながら、早くいなくなるのをまっていました。
幽霊は僕の目の前でずっと止まっているのがわかりました。
なぜなら、僕のすぐ目の前で
『うううううう』『んうううう』
と苦しそうな声が聞こえているのです。
僕は、恐ろしくて目を開けることができませんでした。
その幽霊が目の前にいる間、ものすごく時間が過ぎるのが長く感じて、1分くらいが、三分とか五分とか長く感じます。
その間、「早く行かないかな」と心の中でつぶやきながら、幽霊に気づかれないように、息を殺していました。
『うううううっ』『ううううう』
目の前で、幽霊のうなり声が僕の顔の周りをぐるぐる見わたしてきます。
しばらく、僕の顔を覗き込んでは、周りを見わたすような感覚が続き、急に何もなかったのか、僕の上を通って玄関の方へ向かっていきました。
幽霊が僕の前からいなくなったら、身体が軽くなり、ノイズ音もしなくなりました。
見つめられているときは、恐怖からか、背筋がゾクゾクしていたのに、金縛りが解けてから起きてみると、冷や汗だらだらでした。
僕は、幽霊に何もされずにいたと思っていたのですが、後々考えてみると、何もされてはいないのですが、何かを言われていたような気がします。
一緒に寝ていた彼女に、「昨日の夜また、あいつ来んかった?」と聞いてみたのですが、
彼女は「全然気づかんかったよ」と言っていたので、僕の気のせいかも知れませんが、幽霊が僕の前からいなくなる直前くらいに、小さな声で、
「・・おまえ・・・・・」と言われた気がしました。
声が小さかったのと、耳鳴りとノイズ音とかいろいろな物音が重なっていたので、確かにそう言われたかと聞かれたら、はっきりは答えられないと思います。
幽霊が玄関の方に行ったあとに、玄関の方を見てみたのですが、人影のようなものはありませんでした。
でも、なんとなくですが、玄関のところの小窓あたりが、見にくかったような気がしました。
黒いモヤというか、黒い煙みたいなものがそこらじゅうに充満している感じにも見えました。
この日の幽霊は、気配で性別は分かりませんでした。
そんなこともあるんですね。
この幽霊が、僕に何かを伝えたかったのかは、分かりませんが、もしかしたら、何かに苦しんでいて、僕に助けを求めていたのかも知れませんね。
これが、僕の体験談です。
もしかしたら、これからまだまだ、こういう体験をするかも知れません。
そのときは、また何かに綴っていきたいと思います。
能力が開花して欲しい自分と、して欲しくない自分がいて、とても複雑ですが、今は、開花しても良いかなと思っています。