運と仕事の関係



 運と仕事は大いに関係あります。つまり、運がいい人は、いい仕事につけるのです。ここで言ういい仕事とは、本人が納得できる、楽しくやりがい、生きがいがある仕事です。

 そういう意味では、私は運がいいと思っています。なぜなら、初めて「国際経営コンサルタント」という職業を知った時、直感で「これだ! この仕事は僕のためにある!」と閃いたのです。高校三年生の時です。

 よく様々な方から聞かれます。

「なんで、すぐに直感で『国際経営コンサルタント』業が天職だと思ったのですか?」と。

 理由なんてありません。ただ単に「ああ、こんな仕事をして一生暮したいなあ…」と正直に思ったのです。まさに直感以外の何者でもないのです。

 たぶん、好きな異性を見た瞬間、一目惚れした時ってこんな感じなのでしょう。


私は、直感は科学的な分析・評価に基づいた結論だと思っています。なぜなら、その人が過去に経験したり、勉強したり、知識や情報として得たすべてのデータが頭の中に入っていて、コンピュータのように、一瞬の内に人間の脳で、それらの情報を整理・分析・判断するからです。

 ですから、直感が非科学的でいい加減な判断だと思ったら大間違いです。テキサス大学経営大学院で教えていた際、心理学と統計学と脳医学の教授と、「直感」について話し合ったことがありました。結論として、「『直感』は科学的な意思決定手段」ということで合意しました。

よく、成功した人が、「なぜその大変な決断を下したのか」との質問に、「直感です」とさらりと答えて、嘘っぽく聞こえたりもするのですが、実はそれは事実でしょう。

 一流の人ほど、大事な意思決定は直感で下します。あなたが、まだ怖くて直感で大事な意思決定ができないのであれば、訓練が必要です。間違えるのを覚悟で、どんどん直感で意思決定し始めて下さい。最初のうちは、外れてばかりで嫌になるでしょう。しかし、そのうち手応えを感じ始め、徐々にいい意思決定ができるようになります。

 社会学者で経営学の神様でもあった故ピーター・ドラッカー博士や品質管理の生みの親である故エドワード・デミング博士も、生前お話させて頂いた際、同じようなことを言われていました。

「経営は科学ではありません、芸術です」

 初めてお会いした際、ドラッカー博士はそのように言い切られていました。私もまったく同感で、その時思いました。

「経営は、実は科学的根拠と情報に基づく芸術的な仕事」だと。

そのことをデミング博士やドラッカー博士にも、お元気なうちに言えず残念です。

 

経験上、運と仕事は密接な関係があると思います。運がない人は何をやってもダメです。とにかく、運が弱ければ、自分でより良くする方法を考え行動すべきです。

運をよくするための一つの方法は、運のいい人と仕事をすることです。それは、松下電器産業を創業した経営の神様、故・松下幸之助氏も、パートナーを選ぶ際に重視した判断基準だそうです。