「約束を守らない人は、どんなに他のことができても信用されない」




 仕事には約束がつきものです。その中で最も頻繁にあり大事でもある約束は、締切を守ることです。

一方的に押しつけられた期限であっても、それに同意した時点で、相手と明確に約束をしたことになります。約束したからには必ず実行しなければなりません。

どんなに無理をしても、人との約は絶対に守るのが、社会の常識です。人間関係の基本中の基本ルールなのです。それを守らなければ、信用をその瞬間なくしてしまいます。

 しかし、そんなに大事にも拘らず、これが意外とよく破られるルールでもあります。


 ある会社に、一流の経営大学院(ビジネス・スクール)で経営管理学修士号(MBA)を取得して入ってきた頭の優秀そうな新入社員がいました。確かに頭はとてもいいのです。

 ところが、上司や先輩は彼にいつも悩まされていました。決められた仕事の締切を守れないのです。上司や先輩が戸惑うのは、彼が一生懸命やっているのに、いつも締切に間に合わないことです。

 それで、ついに先輩が、彼がやっていることをよくよく分析してみたのです。確かに一生懸命やっているには違いはありませでした。が、そこには抜本的な問題がありました。彼は単に計画を立ててやろうとしないのです。

 計画を立てませんから、行き当たりばったりで毎日できるだけ仕事をしているのです。勿論、仕事の締切はわかっているのです。それで「間に合わせなければ!」と心に言い聞かせてはいるものの、各細かい作業をいつまでに誰に協力してもらって終わらせるという具体的かつ実践的な「行動計画」がまったく立てられていないのです。

 そんなことをしていたら、締切に間に合うはずがないことは誰が見ても一目瞭然です。何度そのことを指摘されても、彼は実践できずにいました。結局彼はチームから外され、締切に関係ない雑用ばかりやらされるようになりました。

 ここで再度強調しておきますが、約束は絶対であり、守れなければ大事な仕事もできないですし、人の上に立てません。ですから、締切はどんなことがあっても、命懸けで守らなければなりません。