「仕事のできる人は、あいさつの達人」




 あいさつは、相手の存在を認識して受け入れ、敬意を払うという行為です。単なる言葉の交わし合いでもなければ、最初に会ったときの表現でもありません。

ですから、本物のあいさつには、人間としての尊ぶ心が存在するのです。言葉はその心を伝えるツールなのです。

あいさつをしなければ、相手はこんなふうに考えるでしょう。

「自分のことを嫌っているらしい……」

「あいさつもできないくらい元気がないのだろうか?」

「あいさつなんかどうでもいいと思っているのかもしれない!」と。

いずれにせよ相手に不快感を与えると、あなたは相手にとってイヤな存在になっていくでしょう。そうならないためにも、相手の目を見ながら、はっきりと大きな声で心のこもったあいさつしましょう。

そうすれば、相手は一瞬にしてあなたのファンになること請け合いです。


 日本の大学を卒業して、アメリカの大手国際会計・経営コンサルティング会社に就職しました。新人の頃は仕事ができなさ過ぎて、周りの上司や先輩に迷惑ばかりかけていました。でもなぜだか嫌われませんでした。逆に皆さん好意的だったのです。

 不思議に思ったので、遂に先輩に聞いてみました。そしたら、ニコニコして言うのです。

「君は、明るくてあいさつがいいから、皆好感を思っているよ。あいさつができる人は社会人としての基本ができているから、慣れれば仕事もできるようになる。だから、皆君の将来性を買っているんだよ」

 その時は、理解できませんでしたが、経営者になった後、特にそのことは身に染みるくらいわかるようになりました。あいさつがきちっとできない人は、仕事もできないことを嫌というほど思い知らされたからです。