船井総合研究所創業者の船井幸雄氏は、かつて伸びる人・成功する人の条件の一つに、プラス発想であることを紹介していました。船井氏とは、各論で、特に人生観や価値観では、多少意見が異なるところもありますが、こと経営コンサルタントとしては、大先輩であり、学ぶこと大です。

その船井氏が、プラス発想であることの大切さを早くから強調されてきたのです。その点において私もまったく同感です。確かに、伸びる人・成功する人、更には出世する人は間違いなく、前向きで積極的なプラス発想の人です。

面白いもので、同じことを聞いても、同じことを見ても、また、同じことを体験しても、プラス発想の人と、そうでない人とは、まったく違うのです。プラス発想の人は、不幸なことや辛いこと、また大変なこと等何でも良い方に解釈し、将来の飛躍の材料にしてしまいます。

一方、プラス発想でない人は、何事も悪い方に悪い方に解釈してしまいます。ですから、見聞き体験することで、絶えず落ち込んだり、人を羨んだり、自分の不幸さを僻んだりします。せっかくの伸びるチャンスを自ら逃しているのです。従って、出世ができないのです。出世する人は、このプラス発想力が間違いなく相当強いのです。

長いキャリア人生です。良いこともあれば、悪いこともあります。起こることの比率からすると、悪いことが起こることの方が、良いことが起こる方よりも圧倒的に多いのです。

拙書「あたりまえだけどなかなかわからない組織のルール」(明日香出版社刊)の「あとがき」で、次の座右の銘を紹介しました。

「良(よ)からんは不思議、悪(わる)からんは、一定(いちじょう)とをもへ」

単純に現代語に替えると、「良いことが起こるのは不思議で、悪いことが起こるのがあたりまえ」になります。悪いことは確かに一時的に大変です。しかし、悪いことが起こるから良いことが将来起こるのです。また、悪いことから大切なことが学べます。更に、悪いことが起こるから、油断することなく、次に頑張れるのです。私も米国いた際は、悪いことだらけでした。しかし、それがあったから、当時スピート出世できたと今は本当に感謝しています。