水に関する調査会
20世紀は石油の時代といわれた。
そして、今、21世紀は水をめぐる争奪戦が世界的に繰り広げられるようになった。
そんななか、世界に冠たる日本の水技術を海外マーケットに積極的に売り込んでいこうとする機運が高まっている。
小生は10年以上に渡り、その必要性を指摘する著作を書き続けてきたので、ようやく、との感慨がある。
とにかく参議院では水に関する調査会を連続して開催し、官民挙げての水ビジネスの可能性を探りつつある。
今回は「海外水循環システム協議会」の伊藤真実氏、国際協力銀行の本郷尚氏、国際協力機構の江島真也氏という水問題のエキスパートを招き、多面的なアングルからの水戦略を議論した。
これまで日本の独壇場であった途上国における井戸の掘削や汚水処理膜といった技術分野でも、韓国や中国の追い上げが猛烈な勢いで進んでいるようだ。
たとえば、アフリカでの井戸の掘削本数で中国はすでに日本の10倍を超えた。
また、最先端の膜技術開発に対する政府の補助でいえば、日本は40億円ほどだが、韓国政府は120億円を投入している。
このままでは、日本の強みが失われかねない。
今後、日本が目指す方向は、単なる水供給から「水、電気、通信、リサイクル、ゴミ処理など総合的な環境造り」であろう。
今回の東日本大震災からの復興計画の速やかな実施を通じて、新たなエコタウンやスマートコミュニティのモデルを世界に示すことができれば、中国や韓国の追随を許さない高付加価値のビジネス展開に展望が開けるに違いない。
もちろん官民一体の協力体制は欠かせないが。
「水を敬い、大事にする生き方を重ねてきた」日本ならではの、明るい未来を予感させる調査会であった。
とはいえ、毎度のことながら、出席者の半分は居眠り状態。
水をかぶってから出席してもらいたいものだ。