新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書) | |
おすすめ平均 同一労働同一賃金 いのちと健康を守る労働時間規制 リアリストなのだろうか 非正規雇用の増加に対応した社会の構築 (日本の経営者の98.5%が)社会人失格
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今年もっとも耳にしたニュースのひとつが「格差社会」。私のなかで最も気になるワードが「ワーキングプア」でした。
この本は新聞で本田由紀氏(社会教育学者)が、これから社会にでる若者に勧めていた一冊。高校3年生に読めるなら、私にも理解できるだろうと、軽い気持ちで手にとって、大ヒットでした。内容なだけに、すらすら読めるわけではありませんが、大丈夫。大人の方が、身につまされて、読み通せます。是非多くの若者、だけでなくあらゆる立場の人に手にしてもらいたいと思います。
生活の糧である給料の仕組みは、そのまま日本の社会の反映であり、同時に今までの社会の枠組みを固めてきたことが、この本で理解できます。そこのレール(しかも王道のレール)からはじかれたら、生活は成り立ちません。
一応、リベラル?と思っていた自分でさえ、「同一労働同一賃金」の実現は無理なように思っていました。「正社員(特に男)の背負っている責任を考えたら、そうはいかないよね」と思い込まされていたように思います。 そして、男性の背負っているものは、会社での責任だけではなく、家族(社会の基本一単位)を養う責任、でもあった!けれど、こちらだって本当は、男だけが背負っているわけではないのです。背負っている男だけが、偉いわけでもないし・・社会の仕組み上、家庭をもてない人間がどれだけいることか・・決して自己責任ではありません。
つまり、 子どもを育て教育し、人々が最低限暖かい家と食事を得ることは社会保障に負わせる。社会みんなで支えあったいくことがまっとうな社会を作っていくことだと思います。
子どもの手当ては、少子化対策プラス景気対策のためだと思っていましたが、社会保証の枠組みを変え、国民の意識を変える政策になる可能性があることがわかります。
これからどうなっていくのか?勝ち抜け?してしまった団塊の親父たちを、羨み恨むだけでは、始まりません。もうすでにいっぱい剥ぎ取られてしまったけれど、まだ若い世代よりは、いくらかマシな私たち中年も、既得権益にしがみつかないで、若者が希望がもてる社会を作っていくのに協力しなくては。
そのための共通認識に、というか基礎知識としてこの本はとっても有効だと思います。グッドジョブ!