廿日鼠と人間 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

廿日鼠と人間』 原題:Of Mice and Men

1939年(米) ルイス・マイルストン監督作品

 

ジョン・スタインベックの同名小説を、

西部戦線異状なし』のルイス・マイルストン監督が演出した、

心に残る人間ドラマ。

 

大恐慌のころのアメリカ。

身体は小さいながらも頭の回転がいいジョージと、

身体が大きく力が強いが知能が少し足りないレニーの二人組。

 

二人は農場を渡り歩いて過ごしている。

レニーがいつも面倒を起こし、

同じ農場に長くいられないからだ。

 

そんな二人も夢があり、

いつか二人で小さな土地を買って、

誰の命令も受けない自由な生活を送ること。

 

新しく流れ着いた農場では、

良好とはいえない環境で多くの人間が働いており、

地主は権威的で、

地主の息子は小さな身長にコンプレックスを抱く、

短気な男だった。

 

ジョージは要領よく農夫たちとかかわっていくが、

ここでもレニーは問題を起こしてしまい・・・

 

純粋な子供の心を持っているがゆえに、

ジョージのいうことならなんでも素直に聞くレニー。

ジョージも時々、

レニーがいなければ気ままに暮らせるのにと考えながらも、

まるで弟のように愛情を注ぐ。

 

このあたりの描写がとても丁寧なので、

ラストの悲劇が心に染みる。

 

ロッキー』のトレーナー、ミッキー役でおなじみの、

バージェス・メレディスがジョージを演じているのですが、

ラストの悲しみと安堵感が入り混じった演技が秀逸。

思い出しただけで胸が熱くなります。

 

前半に張られた伏線が、

物語にスリルとサスペンスを与え、

ラストで観客の魂ごと持って行ってしまうマイルストン監督の演出はお見事。

 

とんでもない悲劇なのに、

エンド・クレジットでは希望もみせてくれる。

 

思えば、

真夜中のカーボーイ』や、

『レインマン』なんかの先駆けのような作品じゃないかなと思えてきます。

 

 

二十日鼠と人間 [DVD] 二十日鼠と人間 [DVD]
4,298円
Amazon