『 開院準備 ⑪ 』 | 脱奴隷小児科医の刹那主義

『 開院準備 ⑪ 』

さてと、なんだか真夏日のようなここ大阪ですが、いかがお過ごしでしょうか。


クリニックもほぼ完成し、内装もかなり出来上がってきました。
先日、保健所の立会いも無事終了し、いよいよという感じですな。
細かい医療機器の選定も終わり、キッズスペースも専門の業者さんにお願いしました。
院内のテレビやモニターも買いに行きました。
院内の患者さん用の待合室のソファーなどもオーダー済みで後は届くのを待つのみです。
待合室のソファーなどはある程度まとまった個数をオーダーしたのですが、オーダーを
受けてからの受注生産らしく、納期に1ヶ月ほどかかるようです。
なので結構ギリギリになってしまいました(笑)
後はキッズルームのおもちゃや、スタッフ関係の机や備品を買出しに行く予定です。

細かい医療機器としては、予防接種などを保管する専用の冷蔵庫を2台、診察器具や吸入器や
吸引器、オムツ台や体重計、そして酸素ボンベやマスク、緊急時の挿管器具などモロモロの
緊急セットなど。あとは点滴用のポンプや注射器その他ですね。

今まで新生児と関わる経験が多かったので、緊急時に気道確保と酸素投与が出来る準備が
ないとどうしても不安なので、一式そろえることにしました。
使う機会がないことを願っていますが、いざという時にはやはり必要になってきますから。

ソファーなど患者さん用のものが全部で150~200万ほど。
キッズスペース(オーダーメイド)が20万ほど。
医療用の冷蔵庫2台で50万ほど。
診察器具モロモロ、点滴ポンプ2台、緊急セット(挿管器具一式と緊急カート)などで
250~300万ほど。
テレビや院内呼び出し用モニターなどはヤマダ電器価格です。

後、私自身の方針として院内テレビでアニメを流すのはやめようと思っています。
院内テレビには、世界の車窓などの風景画などを流すつもりです。世界遺産とかね。
その代わり、絵本やアニメの本、ヒーローものの本などこどもが読む本を充実させるつもり
にしています。後はお母さん用の雑誌も少し。


あとクスリの打ち合わせもほぼ終わりました。
調剤薬局の小児科担当の薬剤師さんが、私がここで開院を決める前から私のブログを読んで
くださっていたらしく、世間は狭いなあと。
かなり熟読してくださっている薬剤師さんで、まあ全て丸分かりということです。
変に気を使う必要もないということですね、よくいえば(笑)。


それから病児保育の話もすすんでいます。
三重県の病児保育施設も何箇所か訪問させていただきました。
やはり少ないですね。
主要都市に一つあるかないかという感じです。
少ない理由はやはり赤字になるからということでしょう。
私が訪問させていただいた病児保育施設は全て赤字でした。
一箇所だけ細かい支出計算を見せていただきましたが、市からの補助金をもらっているにも
かかわらず毎年数百万円の赤字でした。

分かってはいましたが、正直ショックでしたね。
やってもやっても毎年赤字で、これからずっと赤字が続くということが分かっていながら、
モチベーションを保ち続けるというのは大変なことなんだろうなと。
でもとりあえず病児保育はするつもりです。将来どうなるかは正直分かりませんけどね。


では、恒例の写真シリーズでもいきましょうか。

天気が良くてキレイに撮れましたよ。

元奴隷小児科医の刹那主義

横はガラス張りですね。

元奴隷小児科医の刹那主義

反対側に玄関です。

元奴隷小児科医の刹那主義

4階に上がると・・・

元奴隷小児科医の刹那主義

じゃじゃん。

元奴隷小児科医の刹那主義

イメージカラーの水色の受付です。

元奴隷小児科医の刹那主義

病児待合室です。
景色がいい。

元奴隷小児科医の刹那主義

何もない診察室。

元奴隷小児科医の刹那主義

キッズスペース。

元奴隷小児科医の刹那主義

クリニックのイメージカラーである青をイメージさせる海の生き物に囲まれたトイレ。

元奴隷小児科医の刹那主義



いや、いいんじゃないですか。

開院予定日の11月1日まで約3週間となりました。

さて、来週から職員の研修とかで忙しくなるかなと思っていたら・・・



他府県のとあるクリニックからクリニック名に関して異議申し立ての書類が届きました。

「クリニック名が似ている」

と。

全く同じではないですが非常によく似ていて、そのクリニックはクリニック名を
商標登録しているということです。
つまり商標権の侵害に当たるのではないか、ということのようです。
(詳細は不明)


まず、商標とは何なのでしょうか。

 (以下、Wikipedia より引用)


商標(しょうひょう)とは、商品を購入し、あるいは役務(サービス)の提供を受ける需要者が、その商品や役務の出所(誰が提供しているか)を認識可能とするために使用される標識(文字、図形、記号、立体的形状など)をいい、商品の販売に際しては商品または商品の包装、役務の提供に際しては、役務の提供に使用される物や電磁的方法により行う映像面に付して使用する。需要者は、標章を知覚することによって商品や役務の出所を認識し、購入したい商品、または提供を受けたい役務を選択することができる。

商品の販売や役務の提供を継続すると、使用されるブランドは需要者に広く知られることとなり、商品の品質や役務の質が一定以上のものであれば、業務上の信用力(ブランド)が化体し、財産的価値が備わるようになる。この財産的価値は、特許権や著作権にならぶ知的財産権の一つと位置づけられ、条約や法律による保護対象となっている。これにより産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することができる。


では、商標の機能とは何なのでしょうか。

 (以下、同様に Wikipedia より引用)


一般的に、出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能があるとされている。

出所表示機能とは、その商標が付された商品、役務の出所(生産者、販売者など)を需要者に認識させる機能をいい、この本質的な機能を欠いた場合、後述する品質保証機能や広告宣伝機能も発揮することができない。

品質保証機能とは、その商標が付された商品、役務であれば、一定の品質、質を有するものと需要者に期待させる機能である。たとえば、特定の商標が付された医薬品であれば「効き目が早い」、電子計算機であれば「処理が高速である」、旅客の輸送役務であれば「安全である」といった需要者の期待を抱かせる機能が、品質保証機能である。

広告宣伝機能とは、その商標が使用されている商品や役務を選択することを需要者に促す機能をいい、需要者の好感度を向上させるような広告宣伝活動を通して獲得される機能である。



なるほど。

商標の一番大事なポイントは出所表示機能ということなんですね。


例えば、「トヨタ」と聞けば、世界中の多くの人があの世界的大手自動車メーカーと認識する
わけです。

つまり多くの人が、「トヨタ」と聞けば、自動車についている「トヨタ」のマークを想像し、
多くの人が、あの世界的大手自動車メーカーである(=出所表示機能)と考え、「トヨタ」
のクルマだったら安全性が高いであろう(=品質保証機能)と考えるわけですね。
ばんばんCM(=広告宣伝機能)も出しているわけですし。


では、病院やクリニックの場合はどうなんでしょうか。


病院やクリニックの場合、役務といえば多くは診察などの医療行為を指しますよね。
では病院やクリニックにおける役務の出所表示機能とは、どう解釈すればいいんでしょうか。

例えば、ある地域に奴隷クリニックというクリニックがあったとします。
長年その地域において、地域の医療に貢献してきました。

 「奴隷クリニックの先生は、ほんとよく診てくれるから、何かあったら奴隷クリニックで
  診てもらったら安心よね。」

つまり、奴隷クリニックという「商標」に対して、医療行為という「役務」の出所表示機能が
なされているわけです。
(奴隷クリニックがクリニック名を商標登録しているという前提でのお話です)。
そして、よく診てくれるという「品質保証機能」、地域で長年貢献してきたという「広告宣伝
機能」、またインターネットでホームページを出していれば広告宣伝機能といえるかもしれ
ません。

ではここで、同じ地域で同じ名前の「奴隷クリニック」もしくは似た名前の「新奴隷クリニック」を
開院したらどうなるでしょう。
もちろん何の関係もない医師が開院した場合です。

 「駅前に新奴隷クリニックというのが出来たけど、奴隷先生の息子さんでも開業された
  のかしら。」

この場合は、地域の方々が「新奴隷クリニック」の「出所」が「奴隷クリニック」と同じ
ではないかと認識してしまう可能性が高いと思われるので、「出所」である「奴隷クリニック」
の「商標」を侵害してしまう可能性が高いと思われます。


また、某美容外科系のクリニックのように、ガンガンCMを出して、メディアにも出ている
ような全国的に有名なクリニックの場合は、日本中どこの地域であっても、全く関係のない
医師が、同じ名前や似たような名前でクリニックを開院すると、商標権を侵害することに
なるのかもしれません。


では、話を元に戻して・・・


では、私が開院する予定の「○○○○○○○クリニック」が、他府県にある似た名前の
クリニックの商標権を侵害しているのでしょうか。

ポイントはただひとつ。

「○○○○○○○クリニック」という名称が、「出所表示機能」を有するかどうかだと
考えます。

つまり三重県名張市にある「○○○○○○○クリニック」という名称の「出所」が
他府県にある似た名前のクリニックにあると多くの需要者が認識するかどうか、という
ことだと思います。

簡単に言えば、「○○○○○○○」クリニック」と聞いて多くの人が、他府県にある似た
名前のクリニックと同じではないか、と認識するかどうかだと思います。


受診するクリニックをインターネットで検索する人も多いでしょう。
その際に同じページで似たような名前のクリニックが並ぶことも多いと思います。
でも一般的にホームページを見れば、名前似ているけど全然違うクリニックということが
分かると思います。
また、多くのクリニックがホームページを持っている現状を考えれば、きちんと分かる
ように書く必要もあると自分自身そう思っています。




以上、全て素人考えなので、実際の法的なことは全く分かりません。
また、言葉使いの誤りや論点のズレなどもあるかもしれませんが、ご了承ください。

全て弁護士さんにお任せしています。

あとは、法律の判断に従うのみですね。



新規開院って、いろいろあるなぁ・・・