池田澄子先生
ゲスト ピース 又吉直樹(お笑い芸人)
タキシード蝶ネクタイスタイル。NHKに敬意を表してか。

又吉直樹
大阪府寝屋川市出身。父は沖縄県、
母は奄美群島・加計呂麻島の出身。
2003年夏まで原偉大と「線香花火」というコンビで活動していたが
解散し、その後、同期の綾部祐二とピースを結成し、現在に至る。
趣味は散歩と読書。太宰治のファン。
エッセイやシナリオを書く。
せきしろとともに
自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』
『まさかジープで来るとは』を刊行。
2012年には俳人の堀本裕樹とともに「すばる」で
「ササる俳句 笑う俳句」を連載。
2015年に「芸人と俳人」の題で集英社より単行本化。
 

『火花』

2015年1月7日、『文學界』2月号に初の中篇小説『火花』(230枚)を
発表し純文学デビュー。

同年3月11日、文藝春秋より『火花』の単行本が発売。
4月22日、第28回三島由紀夫賞候補に挙げられた
受賞作『私の恋人』(上田岳弘)との決選投票の結果
3対2で敗れ、受賞を逃した。
 


後輪の泥除けは無し桜桃忌

太宰治は、自分にも他人にも泥をかけるき方をしていた
 自分にも人にも泥をかける生き方

「火花」より
平凡かどうかだけで判断すると、
非凡アピール大会に成り下がってしまわへんか?
ほんで、反対に新しいものを端から否定すると、
技術アピール大会に成り下がってしまわへんか?
ほんで、両方を上手く混ぜてるものだけをよしとすると
バランス大会に成り下がってしまわへんか?

 左利きなのに 、シュートは右足で打つ。
  左でジャブジャブ、右でストレート
下五の意外性

薔薇そのものを読むのではなく
 薔薇と距離を置いて読む。
薔薇と人との関わりを読む

兼題 薔薇

 青い薔薇あげましょ絶望はご自由に・・・池田澄子

*青い薔薇はない

特選
一席
不細工な父の棚なる母の薔薇  北海道留萌市 三泊みなとさん
*薔薇作りの好きな母、大工仕事が苦手な父が母のために棚を作る。
地味な両親への微苦笑。もっと贅沢して欲しい。という両親への想い。

二席
花束の薔薇を納戸に隠しおく             福井県若狭町   小林大山さん
*家族のサプライズパーティ用の薔薇。納戸が庶民性を感じさせる。
薔薇のゴージャスさとの対比。めったにないハレの日の予感。
定年退職の日か、退院日か

三席
庭の薔薇咲きばら園に行くことに         福井県越前市  荒田苔石さん
*庭に咲いて薔薇のシーズン到来を知る。「ばら園」とひらがなに
するところが技巧か


入選

薔薇真紅かつて戦場たりし島                埼玉県上尾市 横山君夫さん
*真っ赤な血潮で染まった島。平和となって深紅の薔薇が咲き誇る。
生き残りし兵士と住民の深い思い。沖縄戦を思う。


薔薇を手に少年レジへ向かひけり  
                        東京都小平市 七木田清助さん
*薔薇をもってレジへ向かう少年。誰にあげるのだろうか。
物語性豊かな句

朝市やあの黒薔薇は誰の手に            神奈川県横浜市 市橋重雄さん
*朝市で黒薔薇を見つける。旅先だろうか。地方の朝市にふさわしからぬ「黒薔薇」誰が買って何処に飾るのだろうか?


薔薇の絵を描くこの頃暇なので           岐阜県各務原市 中谷佳南さん
*絵が趣味の人、暇だから描いていると照れている。
絵画が趣味ということを照れる人ってどんな職業なのだろう?

バラ赤し組む足ジャズに揺れをりぬ
               静岡県磐田市  高橋とし子さん
*薔薇が飾ってあるジャズバーか?すらりと長い足が
スイングしている。作者は冷静にジャズを聴き写生している。

薔薇園に来てカタカナを子に読ます
                 愛知県東海市  後藤洋一さん
*バラの名がカタカナが多い。菖蒲園なら漢字の名前が多い。
又吉さんが鎌倉文学館で見た薔薇
「ピース」「スーパースター」あり。名前に気を取られる。


入選の秘訣

  薔薇咲いて薔薇の字俄勉強し
  薔薇咲いて薔薇の字俄勉強す                   切れ

対談

俳句におけるパロディ、すなわち人恋し       オマージュ

二人の師(渡辺白線、西東三鬼への想い)

居る船は白い大きな黴の船  三橋敏夫                (船員)

 折るふねは白い大きな紙のふね            渡辺白泉   (師)
(太郎さんが居る風景。太郎さんは西東三鬼氏の
目にいれても痛くない一人息子である)


1音しか違っていないのに全く違った世界を描いている。
ただ、まねでなく、駄洒落でなく、想いがなくてはならない。

二百面相落選句

王妃の名冠せし薔薇の香り立つ
薔薇垣に沿ひて一駅歩きけり