戦前の日本の軍事費とGDP/国家予算との関係

 

   単位百万円(防衛白書)

年度..........GDP........国家歳出.......軍事費.....GDP比.....歳出比

1888........1000.........82...............23...........2.3........29.5.............明治22年..

1893........1400.........85...............23...........1.6........27.0

1894........1600........185.............128............8.0........69.2.............日清戦争

1903........2600........316..............151...........5.8........47.7

1904........2600........822.............673..........25.9.......81.9............日露戦争

1913........4600........573.............192............4.1.......33.5............第一次大戦 ..
1914........4200........618.............305...........7.3........49.4 

1925......14300........1527...........448............3.1.......29.3.........(関東大震災1923

1930......11700........1558...........444............3.8.......28.5...........昭和

1931......10500........1477...........461............4.4.......31.2............盧溝橋事件(日中事変)

1936......15500........2282..........1089...........7.0........47.7..........(1934満州国)

1937......18600.......4742..........3278..........17.6........69.1

1941......35800......16543........12503.........34.9........75.6...........真珠湾攻撃

1944......56900.......82160........38876.........68.3........47.3..........本土攻撃

 

1888年明治22年のGDPが10億円の時に2300万円の軍事予算。

日清戦争と日露戦争と、GDP比でも日露戦争はほんとに危うい戦争であったことがわかるほどに、国家予算の8割が軍事費なのだ。

1944年のGDPの規模が世界のどれほどのものであれ、負けるのは当たり前のような数字になっている。

軍事費がGDPや国家予算に占める比率が高いということは、国民にとっていいことなどないということだ。しかし日本が明治維新後、国家予算の30%を軍事費に充てていたのは、富国強兵を進んだからだ。

明治2年から56年間、GDPは57倍、国家予算は1000倍、軍事費は1690倍ということで、最後はすべてがゼロになった。

 

戦後の日本の軍事費(億円)

年度..........GDP...........一般歳出............軍事費.....GDP比.....歳出比

1955........75590.............8107............1349......1.78........16.6

1965......281600............29198...........3014.......1.07........10.3

1975.....1585000.........158408..........13273.......0.83..........8.3.

1985.....3146000.........325854..........31372.......1.00..........9.6

1995.....4928000.........421417..........47236.......0.96........11.1

2000.....4989000.........458878..........49332.......0.99........10.5

2005.....5115000.........472829..........48564.......0.95........10.3

2008.....5269000.........472845..........47796.......0.91........10.1

 

歳出は戦前と合わせて一般歳出の統計です。

日本の防衛予算はGDPの1%という枠を守り続けてきた。国家予算内でも10%枠である。

 

国民の経済活動のうち、非生産的な費用に多額の金額を投じていたら、国民生活の改善は図れないだろう。日本の奇跡は戦後の軍事費の抑制によって、国民生活への投資がなされたことや、生産的な活動へ投じられたことに寄るだろう。

戦前の軍事費の比率をみれば国民ンがいかに困窮してきたかがわかる。

1955年から2005年の50年でGDPは70倍で、国家予算は58倍、一般会計歳出だと82倍、軍事費は35倍ということで、いかに平和維持が経済復興に寄与したかがわかる。

 

改めて戦前の国家運営は、やはり反省すべきものがある。しかし、時代が帝国主義の時代であって、独立維持のための施策は富国強兵であったが、1930年以降の軍部の独走と精神主義がその後の悲劇をもたらしたことは間違いない。

戦後の軍事費の枠は、以降も継続していくことが望まれる。日本の国防予算には米軍基地の維持費が含まれているが、コストパフォーマンスから見れば望ましいと思える。独自で米軍の肩代わりをすることが予算上、負担大費用では終わらないからだ。

 

中国が今、航空母艦を新造して2050年までには太平洋の西半分を支配下に置きたいと願っているようだが、そのためにはさらに高額のコストがかかる。

 

中国の国防費と治安維持費 億元

年度.....国防費.......治安費......合計..........GDP.......GDP比........歳出....予算比

2009......4807.......4820.....9627.......340902.......2.8........79254.....12.1%.

2010......5321.......5140....10461.......401512......2.6........91681.....11.4

2011......6011......6244.....12255.......472881......2.6.......113016.....10.8

2012......6702......7012.....13714.......509765......2.7* ..128775....10.6

2013.....7406.......7690.....15096.......549526......2.7* ..139596....10.8

                         *(7.8%成長推定)

あえて国内の治安維持費と国防費の合算で軍事費を計算する。武装警察は人民解放軍の地方下部組織である。

いずれにせよ軍事費にGDP比2.7%は大きい。さらにここで航空母艦船団を作るという。

それはさらに軍備費の増大で、その維持費だけでもGDPを持ち上げねばならず、その経済成長を持続するパワーは中国にはないとみる。軍事費も生産性のない投資だ。リターンのない投資は国家の借金を増やすだけになるだろうし、大型空母を作ったとしてももはや意味がなかろう。

戦略的ミサイルの開発で、巨漢船はやられてしまうだろうに。

戦術的な軍事論は別にして、軍事費を増額していくことは人民の暮らしを抑制するだけで、人民の幸福とはなんにもつながらないということだけは明確だ。