『おにいちゃんは世界一』
ウルフ・スタルク、マティ・レップ絵、菱木晃子訳
『おにいちゃんは世界一』
個人的お気に入り度:★★★
- ウルフ スタルク, Ulf Stark, Mati Lepp, 菱木 晃子, マティ レップ
- おにいちゃんは世界一
「ぼく」のおにいちゃんは12才。
本名は「モーテン・ペール・オラウソン」 なのに、
力持ちでケンカも強く、面倒見もいいので
「親分」 と呼ばれている。
「ぼく」 はロープを固く結んだり、
ミートボールを投げ上げて口でキャッチしたり、
手放しで自転車に乗ったりできるおにいちゃんを
尊敬していて、一緒に遊びたいと思っている。
でもおにいちゃんは友だちとばかり遊んでいる。
ある日両親が泊まりがけで出かけることになる。
一緒に遊んでもらえることになり「ぼく」 はよろこぶ。
が、
おにいちゃんは「ぼく」 には恐い映画を見せてくれなかったり、
そのくせ夜恐くなって「一緒に寝てやってもいい」と言ってきたり、
レスリングをしていて「ぼく」 の鼻をテーブルにぶつけたり。
しまいに友だちとインディアンごっこするときに、
「ぼく」 を木にしばりつけたまますっかり忘れてしまう。
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私は一人っ子なので十把ひとからげないい方になってしまうが、
子どものころの「おにいちゃん」 って、
こういう子が結構いたよなあ、と思う。
兄貴風を吹かせて面倒を見ていたと思ったら
自分が遊ぶことに夢中になってほったらかしたり、
弟や妹を泣かせてしまったりする。
でも、泣かせたあとはやっぱりきょうだいだし、
親もこわいしで、急にやさしくなったりする。
小学校のころの友だちの1人が、
お兄ちゃんは私が泣けば親に怒られるから
何でも言うことをきいてくれる、なんて言っていた。
年下のきょうだいの方が
実際にはうわてだったりするのかもしれない。
このお話の兄弟も、実は「世界一」 なのは
弟の「ぼく」 なんじゃないかな、と思う。
おにいちゃんの仕打ちにもめげず、
おにいちゃんは世界一なんだって最後まで言い続けている。
あんたはエライ!