『ばらになった王子』
クレメンス・ブレンターノ、リスベート・ツヴェルガー絵、
池田香代子訳
『ばらになった王子』
個人的お気に入り度:★★★
自分の美しい髪しか愛せないお姫様は、
髪をくしけずる専門の召使「くしもと」をはべらせている。
ある日姫の兄がお婿さん候補として友達の王子を連れてくるが、
姫はにべもなく断ってしまう。
王子はおばあさんの手助けを借りて
ばらに姿を変え、姫の庭におかれることになる。
ばらの木は姫の寝所まで伸びてきて、姫は女の子を身ごもる。
女の子は呪いの結果一度は命を落とすが、
いろいろあって最終的には生き返り、幸せになるというお話。
わがままな王女、魔法使い、ばらの花、呪い、ガラスのひつぎ。
「白雪姫」や「眠り姫」をほうふつとさせるような
人物や小道具がちりばめられていて、
グリム童話みたいなおとぎ話の要素がこれでもかという具合に
ぎっしりと詰め込まれた、結晶のようなお話。
こういう正統派のおとぎ話って、やっぱりとても魅力的である。
自分はお姫さまにはなりえないし、人種も国もちがう別世界だと
わかっている大人でも、つい引き込まれてしまうパワーがある。
王子さまがばらになるというのがまたいい。
人生のそれ以外のことをすべてすてて、愛に生きる、
そんなかんじだろうか。
絵もきれい。
- クレメンス・ブレンターノ, リスベート・ツヴェルガー, 池田 香代子
- ばらになった王子
- (在庫切れ)