Sさんのお子さんSくん(当時3歳の男の子)も、紹介で店を訪れてくれました。
三人兄弟の末っ子で、上の子にはアトピーはなかったようです。いろいろな病院に行ったようで、お母様は看護士で知識もありましたが、どうしていいのかわからなくなっていたようでした。
Sくんもかゆさで泣きわめき、本人もかわいそうですが、その子を見守るお母様も大変です。
今でも忘れられない一言が…。
お母様もイライラがつのり、Sくんがかゆさに耐えられず皮膚をかき破ったときのこと。
「どうしてかくん?そうするから治らんのやろ!」
と怒鳴ってしまったことがあったといいます。
それからSくんは、ストレスからか、爪を噛むようになり、かゆくなるとそーっとどこかにいなくなり…、お母様が見つけたのは、なんと…押入れの中。
子供ながらに、かくと叱られる。悪いことだと思っても、かゆさにはどうしても耐え切れず、押入れにこもってかいてしまうのです。
それを聞いたとき、私は、小学生時代の自分の様がよみがえってきて、Sくんの気持ちが自分のことのように痛いほど分かり、辛く…悲しくなり…泣けてしまいました。
「Sくんが悪いんじゃないのに」
またまた、かゆさを恨みました。
私は、お母様に
「頭ごなしに、叱らないであげてください。Sくんも分かっているし、かゆさはハンパじゃないものですから…。」
というと、
「私はアトピーの経験がないから、分かってやれないんです」と。
誰も悪くない。Sくんもお母さんも辛いんです。
私のように経験のある者は、気持ちが分かって辛いし、経験のない人は分かってあげられない苦しみ。
どうしてこんな病気があるんでしょうか…。
人格形成にも大切な時期に、こんな思いをしなければならない、アトピーを患う子供達。私も含め、何の学びのための経験なんでしょうか…。
Sくんの場合、スキンケアをしてあげるのはお母様なので、時々付け方のチェックをしたり、経過に応じて最良の組み合わせを探っていく。それが私の仕事です。
対処途中でも、Sくんは、とびひになったり、ヘルペスになったりと、やはり皮膚が弱いため感染するケースも多かったのです。
Sくんも半年くらいは、大変だったと記憶しています。
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