GypsyPot 楽器部屋 -2ページ目

GypsyPot 楽器部屋

民族楽器や手作り楽器についてのあれこれ




【展示楽器のご案内#06】
【移動楽器博物館】に展示する楽器,今回はJapanese Vintageと呼ぶにふさわしい、日本が誇る職人技の楽器たちをご紹介します。
■左:Takamine Classic(Lute)Guitar
Takamineといえば、いまやエレアコの代名詞になる日本が誇る世界的なギターメーカーです。
Takamineのエレアコは1979年 アメリカで先行発売され、ライクーダー、イーグルスなどの使用で海外の音楽シーンではTakamineブームが起こり、遅れて日本のミュージシャンの間にも浸透していきました。
私がギター少年時代には、Takamineの存在は知らず、EliteやNashvilleというブランドは見かけることはありましたが、これが高峰製のブランドだったと後で知りました。
70年代半ば「Takamine」ブランドに統一してから、エレアコを発表するまでのわずかな期間に、このリュートギターは作られました。

60年代はクラシックギターを多く製造していただけあり、このリュートギターにも、Takamine Classic Guitarというラベルがボディ内に貼られています。

そして、驚くべきはそのパーツ一つ一つの精度と、全体の仕上がりの高さです。木製のテールピースも、ブリッジも40年近くたっていると思えない状態の良さ。ボディのバランスもしっかりしています。
この形状やこのサウンドホールは、ルネッサンスの古楽器のイメージを取り入れたのだろうと思いますが、どういう位置づけで、誰向けに出されたものかはまったく資料不足でわかりません。
サイズはレキントギターサイズ。フィンガリングの細かいニュアンスの音がくっきりと出せます。
当時の日本のギター職人の技を感じることができる楽器。

■中:Kiso Guitar。1950年代に作られた木曽日本弦楽器のピックギターです。
このシェイプのギターは、アメリカの世界的なギターメーカーGibsonによって20世紀はじめにArchtop Guitarとして発表されました。
その後、世界中に広がり、日本でも職人達の手によりピックギターとして再現されていきました。
ボディ内のラベルにはKiso Guitar [Over Wave] NIPPON GENGAKKI I.U.LTD KISO FUKUSHIMA JAPANと記載されています。

輸出を意識したモデルかもしれません。テールピースには蝶のシェイプが型抜きされています。
木曽福島には鈴木バイオリン社もありました。あのSUZUKIメソッドの鈴木バイオリン製造と戦後すぐに分社させられた会社で、その後オーダーメイドギターメーカーから総合音楽企業へと転進していったESP傘下になりました。
戦前から木曽福島は世界に向けて楽器職人を育てた町でした。
参照↓(木曽町公式サイト)
http://www.town-kiso.com/kisogaku/1336/001340.html

■右:マンドリン(Masakichi Suzuki)
この楽器はスズキバイオリンの創始者、初めて日本でマンドリンを作成した鈴木政吉氏のもとで、明治時代に作られた、1世紀前の楽器です。
2002年にフジテレビ系列で放映されたお昼の連続ドラマ「真珠夫人」(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shinju/)では撮影用に貸し出し、横山めぐみさんや松尾敏伸さんにも弾いて頂きました。原作は大正時代の菊池寛による小説でした。
この楽器の原型となったのは、ナポリ型マンドリンを完成させたイタリアのカラーチェマンドリンです。トップに蝶を象ったデザインが特徴的です。
この楽器の驚くべきは作り始めのモデルとは思えないバランスのよさと、部品の細部に渡る丁寧さと品質の高さです。ボリュームも大きく、現役で調整なしで演奏が可能な楽器です。まさに日本人の技術力と意識の高さを感じられる逸品です。


参照↓(日本のマンドリンの原点mandolin-cafe "masakichi")
http://www5.plala.or.jp/mandolin-cafe/20-masakichi.html
________________________________
第3回ちちぶ国際音楽祭「街中コンサート」
【移動楽器博物館】(ミニコンサート付き)についての詳細
☆珍しい世界の民族楽器や伝統楽器が、秩父の街にやってくる!☆
■開催日:2014年8月31日(日)
■開館時間:10:00~14:30
■場所:絹の家(旧ちちぶびいどろ美術館)
    埼玉県秩父市本町3-3
    http://goo.gl/Am3u07
   (西武秩父駅徒歩11分、秩父鉄道秩父駅徒歩6分)
■入場料:一般1000円/小中高生500円(学齢未満のお子様は申し訳ありませんがご遠慮ください)
■展示予定楽器:セルパン、ハルモニウム、シンギングボール、ギリシャブズーキ、アイリッシュブズーキ、コブザ、リュート、マンドリン、バラライカ、チャランゴ、プエルトリカンクアトロ、中国琵琶、中阮、小阮、柳琴、月琴、革胡、椰子胡、二胡、京胡、中国製大正琴、シタール、サロード、スン、ウード、ラウト、サズ、ルボップ、ラワープ、ドタール、セタール、レバーブ、ケマンチェ、ラババ、三線、ピックギター、シタールギター、バンジョーウクレレ、他
■出品・演奏:Jun S.・川口成彦・筒井一貴
※予約不要です。
※随時演奏を披露しています。
【主催】一般社団法人 ムジカテミス 03-5316-7161
【協力】NPO法人 ちちぶ国際音楽祭
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎ちちぶ国際音楽祭 詳細⇒http://chichibu.youthandmuse.org/index.html