行20-6
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強める
ために、次の記述のような改革が提案されたとする。この中で、
最高裁判所の判例を前提とした場合、憲法改正が必要ではないと
考えられるものはどれか。
1 各都道府県の知事・副知事その他知事の任命する職員が参議院議員となる。
2 都道府県議会議員が参議院議員を選挙する。
3 参議院の議員定数を削減し、各都道府県から2名ずつ議員を選挙する。
4 中立的な委員会が学識絡験に優れた者を参議院議員に選出する。
5 政党による立候補者名簿の届出が不可能な選挙制度にする。
正解:5
行19-4
国家公務員法102条1項が、その禁止対象とする「政治的行為」の範囲の
確定を、独立行政委員会である人事院にゆだねていることの是非をめぐっては、
次のようにさまざまな意見があり得る。それらのうち、内閣が行う高度に政治的な
統治の作用と、一般の国家公務員による行政の作用とは質的に異なるという
見地に基づく意見は、どれか。
1 憲法が「行政権はすべて内閣に属する」と規定しているにもかかわらず、
公務員の人事管理を内閣のコントロールが及ばない独立行政委員会に
ゆだねるのは、違憲である。
2 公務員の政治的中立性を担保するためには、「政治的行為」の確定
それ自体を政治問題にしないことが重要で、これを議会でなく人事院に
ゆだねるのは適切な立法政策である。
3 人事院の定める「政治的行為」の範囲は、同時に国家公務員法による
処罰の範囲を定める構成要件にもなるため、憲法が予定する立法の
委任の範囲を超えており、違憲である。
4 国家公務員法で人事官の弾劾訴追が国会の権限とされていることから、
国会のコントロールが及んでおり、人事院規則は法律の忠実な具体化で
あるといえる。
5 行政各部の政治的中立性と内閣の議会に対する政治責任の問題は別
であり、内閣の所轄する人事院に対して国会による民主的統制が及ばな
くても、合憲である。
正解:5
行18-5
次の文章は、表現と行為の関係に言及した、ある最高裁判所判決の一節で
ある。これを読み、同様に純然たる意見表明ではない各種の行為に対して、
判例が採っている考え方として誤っているもの は、次の1~5のうちどれか。
憲法21条の保障する表現の自由は、民主主義国家の政治的基盤をなし、
国民の基本的人権のうちでもとりわけ重要なものであり、法律によっても
みだりに制限することができないものである。そして、およそ政治的行為は、
行動としての面をもつほかに、政治的意見の表明としての面をも有する
ものであるから、その限りにおいて、憲法21条による保障を受けるもので
あることも、明らかである。
1 国家公務貝法102条1項および人事院規則によって公務員に禁止されて
いる政治的行為も多かれ少なかれ政治的意見の表明を内包する行為で
あるから、もしそのような行為が国民 一般に対して禁止されるのであれば、
憲法違反の問題が生ずる。
2 国家公務員法102条1項および人事院規則による公務員に対する政治的
行為の禁止が、憲法上許容されるか否かを判断するにあたっては、
禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との合理的関連性、
政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより
失われる利益との均衡の三点から検討することが、必要である。
3 一般人の筆記行為の自由について、それが、さまざまな意見、知識、
情報に接し、これを摂取することを補肋するものとしてなされる限り、
憲法21条の視定の精神に照らして十分尊重に値するが、表現の自由
そのものとは異なるため、その制限や禁止に対し、表現の自由の場合と
同等の厳格な基準は要求されない。
4 報道機関の報道行為は、民主主義社会において、国民が国政に関与
するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕する
ものであるから、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、
表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにある。
5 報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材行為も、
憲法21条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するから、報道の公共性や
取材の自由への配慮から、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対して
のみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置とは
いえない。
正解:3
それでは、皆様のご武運を。
追伸
メッセージ、コメントのお返事はもう少々お待ちを。
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