雑話271「史上最も高額な芸術作品」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話271「史上最も高額な芸術作品」

ニュースでご存知の方もいらっしゃると思いますが、史上最も高額な芸術作品の記録が更新されました。


新たに最も高額な作品となったのは、ゴーギャンが2人のタヒチ人少女を描いた「ナフェア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの?)」と題された作品です。


ポール・ゴーギャン「ナフェア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの)」1892年

売却金額は3億ドル近くといわれていますが、日本円に換算すると約355億円にもなる途方もないものです。


売主は、ルドルフ・シュターリヘンというスイス人コレクターで、オークション会社のサザビーズの役員をしていたという経歴の持ち主です。彼は具体的な金額と購入者の名前についての明言は避けています。


1892年に描かれたゴーギャンの作品は彼の20作品以上あるという印象派とポスト印象派のコレクションのひとつです。売却されるまでは50年近くもの間、ずっとバーゼル美術館に貸出されていました。


さまざまな情報源によると、購入したのはカタール美術館のようです。


カタールには、既に前の最も高額な作品であったセザンヌの「トランプをする人々」が2011年にカタールの王族によって購入されており、その額は2億5900万ドル、当時の換算レートで215億円ともいわれています。


ポール・セザンヌ「トランプをする人々」1892-3年

※史上2番目に高額な芸術作品となりました

さて、史上最も高額な芸術作品となった、この絵画はスイスで商人をしていたシュターリヘン氏の祖父が集めたものでした。


彼の祖父は芸術家たちと交友関係にあり、そのコレクションのほとんどは第1次世界大戦中か、その直後に購入されました。


その後、シュターリヘン氏の祖父はバーゼル美術館に無償で貸出することを提案し、彼の死後の1946年から貸出されていました。


ゴーギャンのタヒチ時代の作品といえば、ポスト印象派の中でも最も賞賛され、最も人気のある作品のひとつです。


「ナフェア・ファア・イポイポ」には、ポリネシアの風景を背に、2人の少女の間の不思議な相互作用が描かれています。


この作品は、ゴーギャンの2度に渡るタヒチ滞在のうちの最初の滞在中に描かれました。


業界関係者によると、このクラスの作品は、通常美術館に所蔵されており、売却は密かに行われているとのこと。


もし、これらがオークションに出品されたとしても、これだけ高額の競りは期待できないだろうとしています。