lady

これも嵌りたくない作家の一人ですの(苦笑)

もう10年以上本棚にあったんだよね、この本。(だってバーコードなんか印刷されてないもん^^;)
何故読まなかったかというと、戯曲だったから。読みにくいでしょ、戯曲って。
それに、この作品を書いた頃の三島由紀夫って売れっ子の上昇気流に乗っていて、「鹿鳴館」という響きに惹かれたものの、タイトルがあまりに俗っぽくて内容に幻滅したくなかったの。

でもあまり読む本がなかったので読みましたよ~。
感想?もっと早くに読むべきだった(爆)! 

<明治19年秋、鹿鳴館では華やかな夜会が催される。夜会の主人役は伯爵婦人影山朝子。夫の政治家影山伯爵とは互いに隠し事を秘め、偽りの笑みを浮かべつつ、共に夜会を取り仕切る。
夜会に乗り込んでくるはずの政治家清原永之輔は、かつての朝子の恋人で、久雄という息子まで生み、今も密かに愛している男。夫の影山伯爵は、何も知らぬげに、実は何もかも承知の上、うす笑いを浮かべながら、今日を機会と清原の暗殺計画を練っている。朝子もそれを察知し、暗殺を阻止しようと心を砕く。互いの隠し事を知りつつも、何食わぬ顔で駆け引きの限りを尽くす伯爵夫妻・・・>

悲恋物語にもサスペンス仕立てにもなっているこの作品は、現代でも多くの劇場で公演されている。

そうそう、この人の小説のストーリーはいつでも非常に俗っぽいんだけど、流麗な文章とありあまる才能が、芸術作品に仕上げてしまうのだということを思い出しました。

31歳の時のこの作品にも、後年の三島由紀夫の片鱗が所々にうかがわれ興味深い一作。


☆☆☆☆
著者: 三島 由紀夫
タイトル: 鹿鳴館
b-blue