「山崎 富栄」と聞いて
「太宰治の最後の愛人ね!」って誰でも言えるんでしょうか
私は 名前は知らないけど 心中した女性は
自殺願望の強い太宰が 最後の道連れにした
幸薄い 少し頭の弱い女給さん・・と聞いてました
でも この本を読んで
それは とんでもない捏造で、本当の姿は違うことが判りました。
彼女は 日本の美容協会の第一人者の娘として産まれ
皇室の行事にも衣装担当として参加する位
美容・洋裁技術に長けて
講師として日本中に多くの美容師を送り出した優れた女性でした。
でも 結婚12日で ご主人は戦死
戦争で 実家の関わる美容業界は衰退・・
なんとか もう一度 美容学校を設立しようと 朝・昼・夜と働いて
お金を貯めていました。
その為 夜 cafeで働いたこともあったので 女給!と蔑まれたようです
肺結核で喀血しながらも大酒呑みで! わがまま放題で!
実家からも絶縁され! 愛人と妻に数人の子供を産ませ !
それも放任して! 又 違う愛人の元に走る太宰!
それなのに
たぐいまれな その才能と カリスマ性に 惹かれ
家族とも縁を切り 蓄えたお金も全て太宰に貢ぎ・・
出会って心中するまでの 2年間に
「斜陽」「人間失格」という太宰の代表作を書きあげさせた女性です
亡くなった時は まだ30歳
後で 迷惑をかけないよう 全ての事を整理してからの心中でした
今の30歳の女性で
ここまで 濃厚な人生を歩んで来てる人がいるでしょうか・・
もし生きてれば戦後の美容界に 名を成しただろう女性・・
改めて こんな女性の人生を 自分の弱さの道連れにした太宰に
憤りを感じるし
又 違う面では
死までも共にしよう・・と思わせる男性が
今の時代 存在してるだろうか・・
太宰と同じ時代に生きて 会ってみたかった・・
と思わせる 一冊でした