こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
ヒトラーの残影
というテーマで
謀議
という映画を
解説してみたいと思います。
前回のアイアンクロス
ヒトラー親衛隊《SS》装甲師団は
ナチスドイツの一兵士の立場の視点で描かれた
第二次世界大戦の戦場の光景でした。
↑ヒトラー親衛隊の兵卒は悪魔だったのか?
伍長であるヘルケルは
命令に従い、各地を転戦しているだけで
悪鬼ではありませんでした。
では、ユダヤ人虐殺の実行に関しては
ヒトラーだけが悪いのでしょうか?
いいえ。
実は、そうとも言い切れないのです。
このシリーズで
本作品を選ばせて頂いた理由は3つ。
推薦理由①
ユダヤ人絶滅計画が決定した
ヴァンゼー会議を描いた
映画だから
本作は、第二次世界大戦中盤
ドイツ国内でのユダヤ人の扱いを
強制移住や追放から
ユダヤ人全てを抹殺する方向へと
方針転換する事を決定した会議の映画。
という事は
会議の議長はヒトラー?
いいえ。
この会議に出席した15人は
軍と学識経験者であり
ヒトラーは含まれていないのです。
もちろんヒトラーの主張は
ドイツからユダヤ人を退去させろ!
というものでしたが
ヒトラー自身は
ユダヤ人の
マダガスカル強制移住計画
を作ったり
自分が恩義を感じたユダヤ人は
名誉アーリア人として認める
という例外を作ったりしており
ユダヤ人の絶滅に関しては終始一貫していない
場当たり的なものが多い
その場の思い付きで行っている感じなのです。
↑演説で激高すると
何を言い出すか分からないヒトラー!
けれどこの会議では
ヒトラーの退去という言葉の意味を
抹殺する
という意味に決定付けようとするものでした。
議長を務めたのは
ラインハルト・ハイドリヒ親衛隊大将。
↑劇中終始ニコニコとしているハイドリヒ。
部下すら金髪の野獣と恐れられた
冷酷無比なハイドリヒは
当時は収容所に強制収容していたユダヤ人を
抹殺していく方向に決定するために
この会議を開いたのです。
つまり会議の結論はすでに決定済み!
会議を行った目的は
集まった15人全員の賛同を得て
首脳部全員で決定したという
既成事実を作る事だったのです。
↑皆さん、お忙しいところようこそ。
ちなみにこの会議は、すぐ終わる予定です!
集められた15人は
ヒトラー親衛隊幹部や法務局員
首相官房や外務次官、占領地省局長などの
政府の実務担当者たち。
↑これまでのユダヤ人対策計画を策定していた
クロプファー法務局長も参加していました。
当然ながら彼ら一人一人には
この問題に対する温度差があるのですが
ハイドリヒは時に優しく、時に恫喝しながら
結論に向けて会議を進めていきます。
↑あ~、つまりあなたは
ユダヤ人擁護派なんですか?(ギロッ!)
さて、果たして会議の参加者は
一体どのような反応をしていくのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑ドイツ占領下の全ての場所でのユダヤ人抹殺は
この会議で決定されました。
本作は、独裁下においては
法律というものが恣意的に書き換えられる
という事が描かれた映画。
過去に作ってきたあらゆる計画も
状況が変わった。
という一言で退けられてしまいます。
↑会議の前半では
提案された抹殺するユダヤ人の定義を
徹底的に批判していたクリツィンガー官房局長は
ハイドリヒの恫喝するような視線で
黙ってしまいます。
会議の後半では多くの参加者が
法律なんて、都合よく作り替えればいいんだ!
と発言し
ほとんどの参加者が法学者であるにも関わらず
賛同してしまいまうのです。
ハイドリヒはヒトラーの意志を
ユダヤ人の完全抹殺だと定義し
その意志を叶えるために
アウシュビッツにガス室のある収容所を
建設する事を提案します。
↑収容所の管理維持も大変なんで
出来るだけ早くユダヤ人を処分したいんだよ!
法とは為政者のためのもの。
故に、国民が為政者を選べない独裁においては
指導者の意志が尊重され
実務に関しては配下の人間たちによって
都合の良い法整備がなされ
粛々と実行されていくものなのです。
推薦理由②
独裁者は方針を決定し
部下たちは
法律を自由に変えて
その方針を
自分たちのやりやすい制度に
変換していく
↑占領下の各国でも
同じ方法でユダヤ人を絶滅させましょう!
では、この作品は
ユダヤ人に同情的な人が迫害される映画?
いいえ。
この映画の恐ろしいところは
会議に参加している15人全てが
ユダヤ人の絶滅に関しては
全く異論がないという事なのです!
会議が紛糾するの理由は
自分が提唱した
X線照射での生殖能力破壊の方が
人道的に滅亡させられる
とか
収容しているユダヤ人を
兵器製造などの労働に使わないと
生産能力が落ちる
とか
ユダヤ人とドイツ人のハーフを
どういう身分として扱うか
などの法律的な境界線が曖昧だ
などという
自分立場での問題だばかり!
一民族の抹殺について
為政者たちが大真面目に論議している姿こそが
本当に恐ろしいのです。
推薦理由③
為政者になれば
他の人種を抹殺する事も
議論できる!
ヒトラーを絶対的指導者として信奉する
という独裁体制においては
ヒトラーの意志は絶対であり
その意志に反する決定をする事などは
議論の余地すらないのです…
↑会議の前半でのやり取りに
自らの身の危険を感じたクリツィンガーは
一転して賛同する事にします。
ヴァンゼー会議は会議などではなく
参加者の忠誠度チェックのようなものなのです。
と言う訳で次回は
ヒトラーの思想に対して
他国は徹底抗戦していたのか?
という事に関して
同盟国イタリアの場合
というテーマで
裂けた鉤十字
ローマの最も長い一日
という映画を解説してみたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑優雅な豪邸で開かれた会議。
そしてこの豪邸はユダヤ人から接収したもの。
そう。
既にこの会議の参加者全員が
ユダヤ人を迫害する事に全く違和感を感じない
人間たちだったのです…
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