こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
ヒスパニック見聞録
というテーマで
日曜日には鼠を殺せ
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
ここ数回、スペイン内戦について
解説してまいりましたが
スペイン人にとっては
同国内の民族が
敵と味方に別れて殺しあった
という記憶は
今尚、忘れがたいものなのだと思います。
本日の作品のタイトルは
とっても強烈!
日曜日には鼠を殺せ!
とは一体どういう意味なのでしょう?
↑語感から想像する作品イメージ
これは原作小説の
“Killing a Mouse on Sunday”
を直訳したもの。
↑原作本はコチラ
これは中世の詩人が書いた
私は清教徒が
月曜日に猫を吊しているのを見た。
日曜日に鼠を殺したからだ。
という詩からの引用です。
憎い相手を殺した後
それが憎しみとなって加害者も殺さる。
…これが
スペイン内戦のもたらした事でした。
(ノ_-。)
この映画の主人公のマヌエルは
共和国側の闘志でしたが
1939年に共和国側が敗北したために
フランスへと亡命します。
けれど、山道を歩けば国境を越えられるので
その後もしばしばスペインへ戻り
独裁政権側にテロ攻撃を仕掛けていました。
↑俺たちはまだ負けちゃいないぜ!
けれど独裁政権が樹立して20年が経過し
マヌエルの闘志も衰えてきた頃
パコという少年がスペインから訪ねてきたのです。
↑一人国境を越えて
マニュエルをたずねてきたパコ。
パコはマヌエルの親友の子供でしたが
マニュエルに会うと
自分の住んでいる町の
警察署長を殺して欲しい!
と頼んだのです!
パコの父親は
警察の拷問を受けて死亡。
拷問された理由は
マヌエルの居所を聞き出すためでした。
けれどパコの父親は最後まで白状せず
殺されてしまったのです。
↑警察署長は
長年フランスから越境して来るマヌエルたちテロリストを
一掃するよう命じられていました。
…という事は
これはパコの父親の敵討ちの映画?
いいえ。
なんとマヌエルは
パコの以来を断ってしまうのです!
マニュエルにとって
スペイン内戦は遠い昔の事。
もはやマヌエルたちに勝機はありませんし
戦っても無駄死にするだけです。
↑スペインを我が手に、なんて話は
もはや幻なんだ…
けれどその直後に
マヌルの老いた母が危篤で病院に入院した
という情報がスペインに住んでいる友達経由で
入って来たのです!
気丈な母親は
マヌエルがフランスに亡命した後も
政府に反抗していたのですが
病気で動けなくなったため
拉致同然に入院させられたのです!
↑無理矢理病院に入れられた母親!
何故、無理矢理病院へ?
(-"-;A
もちろんマヌエルを病院へ誘い出し
殺してしまうための囮として使うためです!
けれど母親は最後の力を振り絞って
教会の神父を病室に呼びます。
神父がフランスのルルドへ
巡礼に行くことを知ってた母親は
マヌエルに会って
病院には警察が待ち構えているので
来てはいけないと伝えて欲しい
と頼みます。
けれど、神父がこのお願い聞くことは
反政府活動です!
法は破れないと困惑する神父に
母親は言うのです。
あなたが従うのは政府の法?
それとも
人の命を守る神の法なの?
と…
↑思わず絶句してしまう神父。
さて、果たしてマヌエルは
どんな運命を辿るのでしょうか?
それは是非、皆さん自身で
ご覧になって頂ければと思います。
↑紆余曲折があって面会した神父とマヌエル。
一体どんな会話になるのでしょう!?
本作は
憎しみや哀しみの連鎖というものは
容易には断ち切れない
という事を描いた作品。
少年が恨んでいる警察署長ですが
警察署長側から見れば
部下を何人も殺したり
銀行で金品を強奪していたマヌエルは
憎き犯罪者です。
↑マヌエルを殺さなければ
警察署長も更迭されてしまうのです。
では、神父は良い人なのかと言えば
警察署長がパコの父親を拷問をしていても
止めに入ることもしませんでした。
パコが神父を恨んだって
おかしくありません。
けれど神父の父親は
村にやって来た粗暴な集団によって
殺された過去がありました。
神父にとってマヌエルは
いつまでも戦争を引きずる許せない人々です。
↑政府になびいた神父をバカするマヌエルと
いつまでも戦いを続けるマヌエルを軽蔑する神父。
どちらが正しいと
断言できるでしょうか?
様々な憎しみが渦巻く中
パコはスペインへと向かって行きます。
けれど、彼の行動は
スペインを変えることはできません。
スペインは
1975年にフランコが死去するまで
ずっと人々を憎しみ合わせ続けていくのです…
↑美しい山の向こうの故郷へと
歩いていくマヌエル。
けれど、そこに待っているものは
お互いが憎み殺しあう地獄のような世界
だったのです。
という訳で次回は
独裁政権崩壊後に
隠されたもの
というテーマで
マーシェランド
という映画を解説してみたいと思います。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑ちなみに、この映画の原題の
BEHOLD A PALE HORSE(青ざめた馬を見よ)
の“青ざめた馬”というのは
ヨハネの黙示録に登場する死神の乗った馬のこと。
この映画を監督したのは
神に懐疑的なリアリストであるフレッド・ジンネマン。
彼の目から見たスペインは
死神が走り回る末世だったのではないでしょうか?
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