こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
ヒスパニック見聞録
というテーマで
しわ
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
生死観が
我々日本人とは異なるヒスパニック。
けれど認知症問題に関しては
我々同様悩みをを抱えているようです。
本日のしわは
認知症をテーマにしたスペインのアニメ。
この映画は
認知症の人の見ている世界を
映像化する
という
芸術の国スペインらしい視点で
作られた作品
なのです。
↑無意識の世界の映像化に挑戦したのが
スペインの画家ダリ。
主人公のエミリオは元銀行員。
退職後、次第に認知症が重くなり
自分の息子家族を
銀行に来た顧客と勘違いするように
なってしまいます。
↑自分の家族が認識できない時があるエミリオ。
家庭での介護に限界を感じた息子は
父親を介護施設へ。
整然とした介護施設ですが
エミリオにとっては屈辱的です。
↑くそ…
彼の相部屋となったのは
お調子者のミゲル。
↑ミゲルは介護施設で楽しく生きています。
彼は、介護施設の住人を知り尽くしており
まるで動物園の案内人のように
住人一人ひとりの症状を紹介してくれます。
↑ここのヤツらは
ず~っとテレビを観ているだけだぜ。
オリエント急行に乗っている
という幻想の世界にとどまり続けている女性。
↑若い頃の思い出に浸り続ける…
ニコニコしているけれど
まるでオウムのように
相手の言ったことを繰り返すだけの男性
↑相手と同じ事を繰り返すだけ…
もう家に帰らなきゃ
と、電話を探し続けている女性。
↑あの人は毎日、迎えに来てもらおうとしている。
けれど、絶対迎えはこない…
宇宙人に襲われると
怯えている老人もいます。
そう。
ここは、もはや普通の世界でなく
ゴヤやブリューゲルの絵のような世界
だったのです。
↑スペインの画家ゴヤの「袋詰めの人々」
↑ブリューゲルの版画のカオスな世界
ミゲルはそんな世界を上手に生きぬいており
自分が死を迎えるまでの間を
楽しく生きていこうとしています。
認知症の人を騙して
お金を騙し取っているのを見たエミリオは
不快感を感じますが
ミゲルは言います。
どうせもう
使い道なんてないんだよ
と…
辛辣ですが、ある意味正論ですね。
↑老人の金を騙し取るミゲル。
では、ミゲルにお金の有効な使い道はあるの?
その答えは映画の後半で分ります。
ミゲルとエミリオは次第に仲良くなり
ミゲルは次第物忘れがひどくなっていくエミリオに
色々世話を焼いてくれます。
↑彼らは数少ない話し相手。
けれどある日
エミリオが大切にしていた財布が
なくなっていたのです!
ミゲルを疑うエミリオですが
けれどミゲルは、俺は知らないよ!
と笑って言います。
認知症の人たちを騙している時と
同じ表情で…
↑もしかして俺を騙そうと…
さて、エミリオの財布は
一体誰が持ち去っていったのでしょう?
そして次第に何も分からなくなっていくエミリオは
最後はどうなるのでしょう?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑確実に認知症が進行し続けるエミリオ。
最後はどうなるの?
本作は
涙なくしては観れない映画。
↑海外版1分の予告編。これだけで号泣!
自分の記憶が失われていく状況が
これでもか!
と描かれていきます。
↑記憶は散逸していく…
介護施設にはプールがありますが
誰もプールを使っていません。
きっと入所する人は
プールがあるから
という理由で選んだとしても
やがては
そんな理由で選んだことさえ
忘れていくのです。
そして何も分からなくなってしまえば
一般生活は、もはや不可能。
そんな人々は
重度認知症の人のための2Fへと送られますが
すでに言葉も喋れない以上
彼らの心を映像化することも不可能。
よって、2Fの人々の描写もありません。
↑この上の世界は“無”なのです。
では
心の中に最後に起こる記憶とは
一体なんなのでしょう?
ほぼ意識がなくなってしまった男は
妻が耳元で囁く言葉で
ほんの少しだけニッコリと微笑んでいます。
↑ほとんど全てを忘れてしまった男の心に
最後に残った記憶のかけらは?
人はきっと
様々な記憶を失いながら
最後には
一番楽しかった時の思い出だけの世界へと
行けるだとしたら?
そう。
それはきっと
メキシコの死者の日と同じ感覚。
死者が最後まで覚えているのは
生きていた時の
一番楽しい思い出だけ
と考えるのであれば
認知症の先にも
救いがあるのかもしれません…
↑様々な事を全て忘れてしまったエミリオは
最後にどんな夢を見る?
心の内面を描く絵画を描ける
ヒスパニックだから作れた本作は
全ての人が観ておくべき
認知症の世界の心象風景なのです。
というわけで次回は
心象風景と史実
というテーマで
ゲルニカ
という映画を解説してみたいと思います。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑忘れていくというのは
苦役からの開放なのかもしれませんね…
しわ [DVD] 4,104円 Amazon |