本日も

想像力と
ティム・バートン

というテーマで

「バットマン・リターンズ」


という映画を通して

ティム・バートンと
異端者としての視線

について考えてみたいと思います

(^^)





前回の

「バットマン」


奇才・異才


奇人・変人

と呼ばれることも少なくない

と、ご説明いたしました。






ゴッホって、変な人なんだよね。
 
岡本太郎って、変わってるよね。

映画ばかり観てる人って、変人だよね。



…という感じでしょうか?






これは

普通の人の行動
= 正常


と考え

普通じゃない人の行動
= 異常


という視点です。






犯罪などに関しては

これで良いと思うのですが、

表現方法や創作について

普通じゃない = 異常

と考えるのは

ちょっと問題な気がします。






もし

自分自身が
普通じゃない人と

言われてしまった場合

普通の人たちの
行動や言動


どのように感じられるのでしょうか…




本日の

「バットマン・リターンズ」


そんな

異端者の視点


生きる事の辛さや
報われなさ


告発したような作品なのです。






主な登場人物は


バットマン


ペンギン


キャットウーマン



の3人(3匹?)







そして

ペンギンとキャットウーマンは

社会に裏切られた
悲しい怪物

として描かれています。






ペンギンは生まれた時に

容姿が奇怪

という理由で

乳母車ごと川に投げ捨てられた男。

↑今は
閉園した動物園の地下にある
北極プールで
ペンギンたちと住んでいます。





背が低く、丸々と太って

鼻はペンギンのように尖り

手がミトンのようなペンギンは

家族から
異端として排除された
存在

です。


(ノ_-。)


↑ティム・バートン画の
ペンギンのラフ。


…異端ですね。






キャットウーマンは

生真面目ですが

超内向的で

人と上手く接するのが苦手な

実業家の秘書でした。

↑地味で
いかにも人と接するのが
下手そうな女性。

髪がモジャモジャなのは
バートンの自己投影?





けれど

社長の陰謀を知ってしまい

ビルから突き落とされてしまいます。





善人なのに

生きるのが下手なために

社長に裏切られた

キャットウーマンは

上司から
邪魔者扱いされた
存在

です


(ノ_-。)


↑何も悪いコトをしていないのに
殺されてしまった彼女は

世の中に絶望し
狂気の世界へと…






猫の魂をもらって復活した

キャットウーマンは

夜に暗躍する

狂った猫

のような存在になります。


↑ティム・バートン画の
キャットウーマン

…病んでます。




そして

バットマンですが

ティム・バートン版バットマンは

一般社会に溶け込めない
病んだヒーロー



↑本作では
バットマンはほとんど喋らない
孤独な男。

前作のカメラマンの彼女とも
上手くいきませんでした…






ヒーローと富豪の二重生活



誰にも打ち明けられない
秘密を持ち続ける

存在なのです。


(ノ_-。)






ペンギンは

悪の実業家とタッグを組み

ペンギンさんって
ホントは良い人なんだ!

と思わせる計画を実行。




なんと

街の人気者となって

市長候補に!!


↑良い服も着て
街の名士になれました!

彼は生まれて初めて
「社会に受け入れられた」
のです!







親に捨てられ

社会から否定され続けた

ペンギンは


人に愛されたい!

認めてもらいたい!



という切ない願いを持っています。





これって

別に悪いコトじゃないですよね。


↑友達はペンギン
趣味は仕込み傘集め、という過去・・・

孤独な人生でした。







けれど

そんな野望も

彼の軽率な行動と

バットマンへの悪意のために

泡と消えてしまいます。






結局は

一般人たちに愛してもらえなかった

ペンギンは

一体、どうなっていくのでしょう?


↑やっぱりオレは孤独だ~!!

あれっ??

この展開って
「ナイトメア…」のジャックや
「シザーハンズ」と同じ?




そして

迷える魂のキャット・ウーマン

にとっては

何が救いとなるのでしょう?


↑狂気の猫と化した彼女を
分かってあげられるのは

「普通の人」でしょうか?
それとも
「異端者」でしょうか?






それは是非、皆さん自身の目で

ご覧になって頂ければと思います。





この映画は

登場人物全員が

人と上手く交われない
哀しみ


を抱きながら



行動すると

周りの人を傷つけ



結果として

より一層
社会に受け入れられない
存在


となってしまう

という

異端者の視点

が描かれた

アイロニー(悲劇)

なのです。






普通の人は

決して体験することも

気付くこともない

異端者の視点

が描けたのは

ティム・バートン自身が
異端者だから







普通の人と一緒に

楽しむことができない

異端者たちの
クリスマス


↑街中の人が楽しむクリスマス。

けれど異端者たちは
彼らと一緒に楽しめないのです。






恐らくこれは

ティム・バートンの作品の中で

最も悲しい映画

なのです。


↑内気な秘書だった時
部屋のオブジェの文字は
「HELLO THERE (こんにちは、みなさん)」
でしたが
キャットウーマンとなった彼女は
その文字を破壊し
「HELL HERE (ここは地獄)」
となってしまいます。


社会から拒絶された
異端者たちの
孤独や悲しみが理解できる
ティム・バートンならではの演出です








という訳で、次回は

ティム・バートンの
残虐性

というテーマを

「マーズ・アタック」

という映画を通して

考えてみたいと思います。



ではまた(*^ー^)ノ




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