本日は

「リリス」


という映画を通して

想像力と
伝染する狂気

というテーマで考えてみたいと思います。






伝染する狂気…






なんか

怖い言葉ですね

(((( ;°Д°))))






けれど

これは実際にありえること

なのです。






専門用語では

感応精神病

といいます。





現象としては


妄想を持った精神病者



親しくしている正常な人


あまり外界から影響を受けずに
共同生活をしている


正常な人が、
精神を病んだ人の妄想の
影響を受けて

やがては

妄想を共有する
ようになる


というもの。






相手の心の病を


治してあげよう

救ってあげよう

一緒にいてあげよう


という気持ちで接したにも関わらず

結果として

心の病を持つ人に
取り込まれる

というのは

なんとも悲しい展開ですね。






本日の

「リリス」


そんな

狂気の伝染

をテーマにした映画です。






狂気の源

を演じているのは

ジーン・セバーグ!

↑ジーン・セバーグ(^^)






「悲しみよこんにちは」

「勝手にしやがれ」


などで有名な

伝説のミューズの一人です

\(^▽^)/






そんな彼女が、なんと

精神病の患者

として登場するのが

本作なのです。






舞台は

裕福な人の入院する

山奥の精神病院。






お金持ちを相手にしているので

広い敷地の中で患者たちは、

あまり拘束されない

自由な生活を送っています。






主人公の男性ビンセントは、

軍隊帰りの男。






何か仕事に就きたくて

精神病院にやって来ました。







患者に対して

献身的につくすビンセントは

患者たちにも人気。






そして

そんな患者の中に

彼をじっと見つめる

リリス

という女性がいたのです。








ビンセントは、

あくまでも患者として

彼女と接しようとしますが

彼女の方は、ビンセントに対して

「私のこと、好きなんでしょ!」

と近づいてきます。


↑「私のこと、好きにしていいのよ」
と、ジーン・セバーグに迫られたら…

ものすごい誘惑ですね(>_<)






ニッコリと笑うリリスの笑顔は

とても精神を病んでいるようには

見えません。



↑一見、ごく普通にいる
かわいい子ですね(^^)







けれど

ビンセントは言うのです。






僕は今まで

何かを成し遂げたことがない男だから、

この仕事だけは

キチンとやり遂げたいんだ。



と…。





立派ですね!







けれど

このポリシーは

次第に崩れていきます。






何故なら

彼が冷たくすれば

リリスの興味は他者へと移ります。





小学生くらいの子供に

とてもセクシーなキスをしたり


↑小学生を誘惑!?

かなりセクシャルなシーンです。



別の男性や女性にまで声をかけ、

親密になろうとするリリス。




↑誰とでも納屋へ行くリリス。

ビンセントは…







ビンセントの心の中には次第に

リリスを独占したいという

仕事を超えた欲望が芽生えていくのです。






この映画は

一回見ただけでは

少し難解に感じるかもしれませんが

映画で伝えたいことは

登場人物たちのセリフの中に

さりげなく仕込まれていますので

繰り返し観ると

伝えたいことが分ってくると思います。






明るく屈託のないリリスは

とても健全そうに見えます。





ビンセントは医師に

彼女は病気に見えないと言うと

医師は言います。






彼女は

「陶酔」

なんだ。





そして続けます


シェイクスピアの時代、
陶酔は病気
だったんだ。



と…






また

こんなシーンもあります。






医師はスライドで、

蜘蛛の巣の写真を見せながら




健全な蜘蛛は、

バランスの取れた蜘蛛の巣を作る。



けれど

統合失調症の人間の血を

クモに与えれば、

クモにも病気が伝染して

クモの巣は
バランスを崩した
形になる


↑これが
心を病んだ蜘蛛の作った蜘蛛の巣






これらが

この映画のテーマを知る上での

ヒントになります。






明るく、屈託のないリリスに

恋してしまうビンセント

ですが、



リリスは

彼の中に納まるような人間

ではありません。






彼女は

自分の存在価値を
作ることに陶酔している


病気。






そしてそれは


リリスは
全ての人に与えたいの


そして


でも
リリスが与えられるのは
体しかないの


という衝撃の告白になります。


↑彼女に翻弄され
当初の志も崩れ去ってしまった
ビンセントの運命は…





つまり彼女は


誰にでも、
なんでもしてあげたい!

という気分に
自分自身で陶酔し



けれど
何も持っていないから



誰にでも
カラダを許してあげる



という行為に走る

精神病だったのです!






けれどビンセントは

リリスを愛してしまいました!


↑自己陶酔を暗示させる
湖面に映った自分にキスするリリス。

この映画は
ストーリーを理解してから
もう一度観ると

こういう隠されたシーンが
いっぱい見つかるのです(^^)







だからこそ

今度はビンセントの恋心が

彼の精神を歪ませていくのです。






リリスの笑顔の裏にある

彼女の狂気が、

ゆっくりとビンセントに伝染していきます。






さて、

そんな二人には

一体

どんな結末を迎えるのでしょう?






それは是非、皆さん自身の目で

ご覧になって頂ければと思います。






リリスとは

女性の
悪魔の名前


↑ジョン・コリアの描いたリリス。

アダムを誘惑した悪魔です。







「夜の魔女」と呼ばれる

男児を殺害する悪魔と言われています。







この映画で


親しげな笑顔を振りまく
リリスの魔性


を演じきったジーン・セバーグは高く評価され

ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞に

ノミネートされました。






そういえば

「悲しみよこんにちは」


「勝手にしやがれ」


男性を破滅させてしまう物語。


↑「悲しみよこんにちは」では
お父さんを絶望に

「勝手にしやがれ」では
彼氏を死においやるセバーグ。







そんな

破滅を誘う女性としての魅力が

ジーン・セバーグ自身にも

備わっていたのかもしれませんね



ではまた(*^ー^)ノ