書名 地獄からの生還


著者 桜井 甚作 氏


在ガ島時(ツラギ)

タナンボコ島 海軍横浜航空隊

三等工作兵

発効日 平成5年 

頁数   254頁

発行   豆の木工房

      価格記載の無い事から自費出版と思われる。



ガダルカナル戦関連書籍



本書籍の入手は、困難を極め手にするまでかなりの時間を要しました。

昭和の時代、亀井宏氏の手により「ガダルカナル戦記」全三巻が発表され膨大な時間をかけて取材され、ほぼガ島戦の全貌を再現されております。

平成の時代になり著者の桜井氏は、亀井氏の「ガダルカナル戦記」を読み、さらに引用し事実との相違点を指摘されている。

それは亀井氏の取材の足さなさと言うよりも、亀井氏の著書をガ島戦を経験された方々が自分の体験と重ね合わせる為の教科書的な書籍であり、氏の「ガダルカナル戦記」があればこそ桜井氏のように体験された事実を平成の世になり後世へ伝えようという原動力になったのではないかと想像いたします。


桜井氏は、大正十年生まれで昭和十六年志願兵として横須賀海兵団へ入団。

開戦のため海軍工作学校を八ヶ月で繰り上げ終了し、横浜海軍航空隊へ配属となる。

配属二週間でツラギ島へ送られる事となった。

氏はツラギ島より2~3km離れたタナンボコへの配属となる。

タナンボコ島とガブツ島は海軍の下駄履き飛行機基地があり九七式大艇・二式水上戦闘機が配備されている。

両島は橋でつながれているが、本書の中にタナンボコ・ガブツの位置関係・雰囲気を描写されている桜井氏の絵があるのでご紹介したい。

タナンボコ島より見たガブツ島 後方にガダルカナル島
ガダルカナル戦関連書籍

ガブツ島より見たタナンボコ島

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昭和十七年八月七日早朝。

米軍はガダルカナルの飛行場とツラギ(タナンボコ・ガブツ・フロリダを含む)へ上陸を企図し攻撃を開始する。

桜井氏は、七日午前四時、聞きなれない金属音にハッとし宿舎の外へ飛び出すと星のマークの飛行機が低空で飛び去っていく。

氏は急いで、一斗缶をガンガンはたき『敵襲』と叫び総員起こしをしてまわっている。

あまりの急襲に飛行艇は飛びたてず海の藻屑となったが、七日の米軍上陸部隊はタナンボコ・ガブツ両島将兵の反撃を受け退却している。

翌八日、日本軍の反撃を受け米軍は両島を艦砲射撃と飛行機による爆撃で壊滅させようとした。

午前十時、氏は壕の中で至近弾を受け戦闘力を持った兵士としての役目を終える。

暗い壕の中で目を覚ました氏は、同じく壕で気を失っていた戦友の宮川氏と三十数日間の洞窟内でのモグラ生活を送る事となる。

その間、壕の上には米軍の通信所が設けられ、さらには洞窟内へ米兵が調査しに来るなどの危機を乗り越え隣島のフロリダ島へ泳ぎ着く。

島民の畑などから食物を少しずつ調達し生き延びるも島民に捕らえられ米軍基地へ送られ捕虜となる。

ガ島からニュージーランドのフェザーストーン捕虜収容所へ送られ終戦を迎える。

以上が本書のザックリと大きく割愛したストーリーである。


続きは明日^^;