冷たい廊下に腰を下ろし、上着を掛ける銀色のバーが教室から漏れる光と生徒の声に震えているのを見ていた。
向こう側から小さな体の男の子が来る。精悍な顔立ちに似合わない体躯が滑稽でそれをからかえば加減のない暴力で応戦された。
ヨシユキとの出会いはそんな感じだった。
たまにそんな話をすると、決まって「お前とは絶対仲良くなれないと思った」とよく言われる。
私は、人とのコミュニケーションの取り方が驚く程下手だ。
それは、今でも変わっていない。
そんな私と今でも仲良くしてくれる彼には感謝が絶えない。
彼は先日結婚した。
結婚式に呼ばれた。
私は私なりに祝った。
それが、どれだけ彼に届いたかはわからない。
なぜなら、私は人とのコミュニケーションが驚く程下手だからだ。
今回私の展示スペースに彼の作品も展示させて頂く。
彼の作品を見た。
冷たい廊下と、教室から漏れる光、生徒の声に震える銀色のバーを不思議と思い出した。
精悍な顔立ちが似合う大きな青年がそこにいる。
彼に会ってもう15年が経つ。