Ever-Changing

Ever-Changing

ライブドアブログに移行しました。→http://blog.livedoor.jp/akanesato/

Amebaでブログを始めよう!
レビュープラスさんから
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 
ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”

のゲラを献本いただきました。
グラッドウェルファンとしては発売前に読めるがとても嬉しいです!

今回の本は、いままでのグラッドウェルの著作とは違い、
一つのテーマを掘り下げる形式ではなく、
グラッドウェルが THE NEW YORKERで発表した記事を集めた短編集になっています。
全体は3部構成で、以下が本文中の全体構成の抜粋です。


第1部は、まるで何かに取り憑かれたように何かを成し遂げた人々、
私の言い方によれば"マイナーな世界の天才たち"の物語である。

第2部は、その時代を代表する理論やパラダイム、人間が経験した出来事を
"体系的に理解するための方法"をテーマとした。

第3部では、私たちが、"他人に対して行う判断"について考える。
相手が悪い人間か、頭が切れるのか、何らかの能力に秀でているのかどうかについて、
私たちはどうやって見極めるのだろう?


「はじめに」のこの部分を読んだだけで、
「グラッドウェルがこの内容で書いたら絶対おもしろい!」とわくわくしました。

今回ゲラをいただいたのは第1部の中の3章分でした。
その中でも特に私が気になったのが
ブラックスワン」の著者であるナシーム・タレブが登場する
「第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学」です。


■実力か?単なる幸運か?

物語は、1996年のある日、
ウォールストリートのトレーダーだったナシーム・タレブが
当時全米屈指のファンドマネージャーであったニーダーホッファー
大邸宅を訪ねるシーンから始まります。

ニーダーホッファーは非常に成功していましたが
タレブは彼のようにはなりたくない、と思っていました。

なぜでしょうか?
それはタレブが以下のような考えを持っていたからでした。

こんな暗算が成り立つ。世間に一万人の投資マネジャーがいるとする。
これは、それほど的外れな数字でもない。
毎年、その半数がまったくの偶然によってカネを稼ぎ、あとの半数がまったくの
偶然によってカネを失うとする。その年、損失を出した者は駆逐され、
残った者だけでゲームが再開される。
すると五年後には313人が、
10年後にはわずか9人がまったくの偶然によって勝ち続けた者として生き残る。

(中略)

ニーダーホッファーが「幸運な9人」のひとりではないと誰が断言できただろう?



タレブは、自身のスキルや能力を信じるこういった成功したトレーダーとは反対に、
「自分は根本的には何も知らない」という信念、
また、

「世界では予期せぬ出来事が常に起こるのだから、
いつかマーケットが予期せぬ事象を起こす」


という哲学に基づいて投資を行っていました。
(私もこの辺り門外漢なのですが・・・
予期せぬ出来事がおこると儲ける投資の仕方のようです。)


そして実際、
ニーダーホッファーは1997年のアジア通貨危機という
「予期せぬ出来事」により吹っ飛んでしまいました。

一方、タレブのファンドはその後順調に成長を続け、
最近起きた「予期せぬ出来事(2008年以降の金融危機)」で
巨額の資金を得たのでした。


■2人の共通点

タレブの著書にもグラッドウェルが登場したりしていて
この二人はお互い波長が合うんだろうな、ということが伝わってきます。

それはおそらくこの二人に共通する人生観として
「実力」という概念の儚さがあるからではないでしょうか。

グラッドウェルは前作
「天才!成功する人々の法則」で、成功した人々の理由をその人個人の才能ではなく
時代や文化、家庭環境など環境要因に恵まれていたからという視点で分析しています。


■運も大切だけど・・・

運が大切なら、実力をつけるために努力する事は無駄なのでしょうか?
決してそうではなく、前述の2人も著書の中で主張しているように、
一般に思われているよりも成功の原因にしめる運の割合が高い、という事です。

これは私のイメージですが

通常、 
運:実力=2:8 だと思われているけれど

実は

運:実力=8:2
 
のような感じでしょうか。

うまくいってもそれは大部分が運のおかげかもしれません。
だからこそ、うまくいっても驕らないようにしたいし、
うまくいかなくても自分はダメだ、とすぐに諦めたりしないようにしたいですね。


そして、運と実力はかけ算のように

運×実力=結果

となっているのではないでしょうか。

それならば、運がよくても自分が動かなければ何もおこらないし
逆に運が悪くても自分の努力次第で変えられる余地は多いにあります。


“アイデアの魔術師”ことマルコム・グラッドウェル。
読んでいるといろいろと発想の広がる一冊です。






マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた.../マルコム・グラッドウェル

¥1,470
Amazon.co.jp