レンズ沼とは

 レンズ沼はこの世で最も恐ろしい沼です。同じレンズでも放置して固くなったコンタクトレンズを素足で踏みつけてしまうのとは訳が違います。

 レンズ沼とは、レンズを換えればもっといい写真が撮れるのではないか、と一眼レフカメラの交換レンズをどんどん買ってしまう生理現象です。交換レンズは数万円から100万円を超えるものまでありますが、焦点距離や絞り値、解像度などの能力は千差万別。もっといい画質、さらなる便利さを追求し、人は大金をはたいてしまうのです。

 これはカメラ愛好家の本能です。逃げられません。将来のために貯金しなきゃ。分かっていても、「ボーナス出た→アマゾンでポチる」の公式から抜け出せないのです。


レンズ沼以外にも沼はあるんだぜ。。。

 そして、もっと恐ろしいことにレンズ沼以外にもカメラ愛好家をハメようとする沼が存在します。カメラを趣味にしてしまった時点で俺たちは沼にハマっているのです。以下では俺達を待ち構えている沼を考察します。


三脚沼


 集合写真を撮るだけでなく、夜景や月を撮影するためには必要となるのが三脚です。人間より脚が一本多いというだけで我々人間を食い物にしています。三脚もレンズと同じく千差万別。卓上で使えるコンパクトなものから背の高いもの、素材によって重さも様々、また、雲台(カメラと三脚を取り付ける部分)によってカメラの方向転換のしやすさも変わります。

 橋の上からの風景や鉄道写真を撮るのであれば橋の欄干を超える高さが必要ですし、登山やツーリングで使うには重くて大きいと不便です。用途に合った三脚を選ぶ必要があります。安物買いの銭失いにならないようにしましょう。

防湿庫沼

 防湿庫とはカメラやレンズをカビから守る箱です。数万円も出して買ったレンズがカビによってパアになってしまうのを防ぎます。ホームセンターの箱に除湿剤を取り付けたものや電子管理による除湿機能を持ったワインセラーのようなものがあります。

 防湿庫沼はレンズ沼とタッグを組み、俺達を蝕みます。レンズ沼にハマるはずがないと思って小さい防湿庫を購入したら、すぐにいっぱいになってしまった。ということがあります。大きめのサイズを買っておくことが防湿庫沼の餌食にならない最善の方法です。

 重いものなのでキャスターが付いているかどうかも選ぶ際のポイントになります。

ストロボ沼



 写真というものが光を切り取るものである以上、カメラ愛好家は光のマジシャンでなければいけません。絞り値やシャッター速度だけでなく、光の量、向きにまで気を使わなければコレだ!という写真はできません。そのためには内臓フラッシュでは物足りなくなるでしょう。

 外付けストロボにも種類はたくさんあります。長いレンズが陰にならないように光源が高い位置にあるものや、ストロボというより照明に近いもの、マクロ撮影のためのストロボなどなど。オールマイティに使えるクリップオンストロボを一つもっておくと室内での撮影の幅が広がります。

 蛍光灯の光だけでは人物などは顔が陰になってしまい、うまく撮れないことがあります。ストロボを使いこなせば女性をキレイに撮影でき、モテモテ間違いなしです。

 家の中にレフ板やデュフーザーが見当たる方はストロボ沼に片足突っ込んでいるかもしれません。

メモリー沼



 撮影した写真は高画質で保存したいものです。しかし、圧縮せずにパソコン内に保存しておくとパソコンの動作が重くなるし、枚数を保存できません。そこで登場するのがメモリーカードや外付けハードディスクです。

 メモリーカードは数GBで安価、カードに使用した日付などを書いておけば写真を探すのに便利です。しかし、かなりの頻度で買い足していかなければならない、データが消えてしまうという事故が発生することがある、枚数が多くなってくると管理が大変になるというデメリットがあります。


 外付けハードディスクはメモリーカードよりは高価ですが容量単位あたりの金額を考えると割安で、画像を一括管理できて便利です。


ボディ沼



 「レンズは資産、ボディは消耗品」という言葉があるように、数年すると各メーカーからニューモデルの機種が発売されます。最近ではWi-Fi機能が付いたものが主流になってきたようです。普通、撮影に劇的な変化をもたらすような革新的進化は起こらないので頻繁な買い替えはする必要はありません。長く付き合ってきたカメラなら愛着も湧くでしょうし。

 しかし、もしボディを買い替えたとき、本当に恐ろしい事が起こります。それはレンズ沼を助長することです。エントリーモデルのAPS-Cサイズでは物足りなくなってきた。そろそろステップアップしたい。といった理由でフルサイズ機種を購入したとします。すると、今まで使っていたAPS-C専用のレンズはフルサイズでは使えません。その画角をカバーするレンズがまた必要となってしまいます。

趣味沼


 多くのカメラ愛好家は自分の趣味を撮影するためにカメラにハマっていることでしょう。自撮りのために一眼レフを購入した強者もいるかもしれません。

 旅行が好きで旅路の風景を残したい。自慢の料理をもっとおいしそうに撮影したい。という理由からカメラに凝り始めた人もいるのではないでしょうか。

 筆者も「バイクが好き→ツーリングに行った風景やバイクをキレイに残したい」という思いでカメラを始めました。

 すると、「カメラを勉強してうまく撮れた→もっと撮りたい→うまく撮れた→もっと撮りたい」という循環で趣味に没頭します。SNSに投稿して誰かにホメてもらえるとさらに嬉しいですし。

 もっと遠くに旅行に行ったり、新しい包丁を買ってみたりと出費が増えます。これが趣味沼です。

どっぷりハマるのもあり


 ほかにも画像編集ソフトやクリーニングキットなどカメラ周辺機器を買うにはお金が必要になってきます。しかし、どっぷりハマってこそ趣味。削れるところは削って無駄な出費を減らしていく努力をしましょう。