ロッテの低迷が止まらない。
18日の試合での敗れ、8連敗を喫した。
先発がゲームを作れず、攻撃陣も形を作れず、あと一本が出ない。試合前に、新外国人選手獲得を発表したが、球団本部長と監督の言葉に微妙なズレが明らかになるなど、すべてがちぐはぐになっている印象だ。
これだけ、打てない、抑えられないわけだから、指揮する監督も大変だろう。
そんな同情論が聞こえてくるが、果たしてそうだろうか。
最近は騒がれなくなったが、試合後に深夜の練習を敢行したりしていたが、あれは果たして効果はあったのか。むしろ、当時は調子が良かった選手まで、疲労やメンタルに負荷がかかったような気さえする。
答えはないのだが…
ロッテの戦いで、ずっと疑問に思っていたことがある。
ことしに始まったことではなく、ずっと以前から続いているものだ。
それはピンチにおける守り方だ。
日本の野球を見ていると、無死や1死で走者が3塁に行くと、内野手が前進守備の陣形を敷くケースが極めて多い。
しかし、ここ数年になって、変化の兆しを見せている。
例えば、ラミレスDeNAは、前進守備に躍起にならないし、阪神は、セカンドだけは前進させて、遊撃手は下がるということをやる。ヤクルトも優勝時にはそうしていた。日本ハムは前進守備といっても、ややライン上ほどのものだし、ソフトバンクは点差によって変える柔軟性を持っている。
では、ロッテはどうなのか。
とにかく、前進守備を敷く。
3塁はもちろん、2、3塁は絶対だ。
僕は、試合の序盤、少なくとも7回くらいまでは、それほど前進守備は敷くべきではないと思っている。4点差以上つくのはまずいが3点差以内ら何とかなると思っている。
前進守備というのは、内野ゴロがくれば、成功するという要素を持っているが、それ以上にリスクが高い。
例えば、無死、1死、2、3塁の場合。
定位置の守備位置なら内野ゴロでも1点が入る。
しかし、前進守備なら入らない。
1点だけを守るなら、前進守備は理にかなっているかもしれない。
ところが、前進守備には極めて危険な要素が孕んでいるのだ。それも二つある。
一つは、前進守備をすることで、ヒットゾーンが広がる。
もう一つは、2、3塁なら、二塁走者のリードが大きくなり、ワンヒットで2人の走者が返ってしまうという点だ。
昨年のロッテ―西武の試合で、ロッテが8-6で勝っている試合の8回裏、1死、23塁のピンチの状況で、前進守備を敷いた。
打者がセンター前へ運び、ロッテの中堅手・岡田が完ぺきな送球を本塁にかえしたが、生還を許すという場面があった。
前進守備でなければ、セカンド走者は刺せたか、三塁ストップだろう。これが同点の場面だったなら理解できるが、2点もリードしている中でのことだった。ミスミス同点の機会を与えてしまった。戦い方としてはまずい。
よって、このような展開の場合、得点差にもよるが、前進守備をすることで、より自分たちの首を絞めてしあうケースというのが往々にしてあるのだ。
ロッテ―西武の3連戦では、そんなシーンを二度見た。
初戦の16日の5回表、西武の攻撃。
無死1,2塁から3番の浅村が三遊間を破る適時打で1点を先制。ロッテのまずい守備もあって、1死・2、3塁となった。打者は中村。
このとき、ロッテの守備陣は前進守備を敷いた。
チーム事情を考えれば、2点差開くのはきついのは分かる。
しかし、2点よりもっときついのは3点だ。
打者が中村だということを考えれば、ヒットゾーンを広げることの方が2失点という悲劇を招くはずだ。しかし、前進守備。
中村打球はセカンドへのライナー。
しかし、前進守備を敷いているために、適時打となり。2点を追加。この回3得点を奪った。
1点を惜しみ、2点を失う。
この試合は3-2で決着。
打たれたロッテの先発・チェンだけが悪いとは言えない。
続いて18日の試合。
場面は西武1点リードの3回表、1死、2,3塁で打者は浅村。
このときも、ロッテ守備陣は前進守備を敷いていた。
浅村の打球は詰まりながらも、1、2塁間抜けるタイムリー。
定位置なら、アウトになる打球だった。
1点にこだわるあまり、2点を奪われた。
この日の試合は5-1で西武の勝利だったが、ここで3点差が付いたのは、戦い方に大きな差が出ただろう。2点目を抑えに行って、3点目まで奪われたのだから。
これ、今季のロッテが開幕から不調で悪循環だからそうなっていると思われがちだが、最初に書いたように、去年も同じようなことをしているのだ。
そもそもの戦い方に問題があるのだ。
この前進守備の指摘は、野球における一部分にすぎない。
野球には様々なところで、ゲームを変えるような戦術が存在している、明らかに見えるもの、見えないもの、たくさんあるのだけど、たった少しの要素で、試合は決まらないのだと伝えておきたい。
取材をしていていつも思うことだが、
野球を戦術的に見ることができる人はかなり少ないと思う。元プロの人たちは技術解説に関しては素晴らしい考えを持っているが、戦術を見るプロではない。
むしろ、ジャーナリストの方は、その部分において長けていてもおかしくない。
ただ実際、戦術を語れる記者やジャーナリストがいないというのが現状だ。
記者席で飲み会の店を探していたり、テープ起こしをしていたり、原稿を書いていたりしているから変化に気づけない。
果たして、伊東監督は不運な人といえるのかどうか。
あるとすると、おかしな守り方をしていても、そこを突いてくる記者やジャーナリストがいないことなのかもしれない。