先週読んだ漫画 14/11/09-11/22 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

先週読んだ漫画 14/11/09-11/22

今回もサボったので2週分まとめて。

●パタリロ! 41巻/魔夜峰央

短編5本。内容的には、普通かな。時代を考えれば仕方ないのかも知れないが、パタリロでは同性愛描写は多いものの、あくまで異端として描かれているなあ、と改めて認識した。


●フロイト1/2/川原泉

妻は読んだことがあると言うが、自分は読み逃したみたいだったので、借りて読んだ。デビュー作のたじろぎの因数分解を含む、初期の作品をまとめたもの。さすがに発展途上のタッチなどは見られるものの、初期からすでに川原泉としての確固たる世界を築いていて素晴らしい。表題のフロイト1/2に至っては既に円熟の味わいだ。この話にはゲーム制作会社の話が出てきて、著者のゲーム好きが偲ばれる。ただしファミコンだ。最近でもゲームしてるのかな。最近読んでないし、また「がある」シリーズでも追いかけようか。


●ナルト 56-57巻/岸本斉史

忍界大戦大詰め。いのしかちょうvsアスマ、ダルイvs金角銀角。穢土転生による死者との再会、そして強制戦闘。非常に辛い展開の中、それでも戦わねばならない忍びの宿命。チョウジのようにそれを糧にできる者がいるのが救い。そして57巻ではようようナルト登場。雷影との回想を挟んだ丁々発止。次巻いよいよナルト戦場降臨か。対するは転生ペインの気配。本作はちょうど連載も完結とのことで、残るはあと15,6巻かな?


●泣き虫チエ子さん/益田ミリ

妻が職場で拾ってきた。これまで著者の作品はスーちゃん系をパラパラ読んだことがあるだけだったのだが、それらで主に描かれているように、おひとりさま、結婚しない女、といったテーマの作家だと思っていたので、この作品が一転夫婦物だったのに驚いた。11年連れ添った子無し夫婦の何気ない平凡な日常からすくい取った、互いを思い合うささやかな生活の愛おしさを4ページずつのショートストーリーに織り込んだ作品である。
夫婦二人暮らし(+猫もいるが)の結婚17年、自営共働きという本作の設定とよく似た条件を満たしているからか、なんだこれは我が家のことかというようなエピソードも多く、夫婦のあり方としてもよく似てるなあと共感する部分を多々拾えた。特に妻は余計にそう感じた様子。我が家でも最近しりとりがブームだったので、しりとりの話を読んだときは笑ってしまった。子供がいる夫婦の機微は正直分からないが、仲の良い夫婦二人暮らしなら、結構本作のような感じのパターンも多いのだろうと思う。しかしもちろん夫婦のありようなど百人百様だろうし、本作を読んで、ファンタジーと断ずるしか無いという感想を持つ人もいるだろう。実際、作者の他の著作からの想像では、この作品が、著者の経験の昇華ではなく、完全に著者の空想の産物であるという意味でファンタジーである可能性も多分にあるだろう。しかし、例えファンタジーであったとしても、きれい事、とか、理想論、とか、子供の想像などと切り捨てるのは早計だ。近年、配偶者をレポートする形式の漫画が隆盛である。もちろんリアルなエピソードの持つ力というものもあるだろう。しかし、空想にしか、いや敢えてもっと強く言えば、妄想にしか捉えられないイデア、というものもあるのではないか。その意味で、本作には実録物に負けない力があると言えるし、作品としての価値もそこに集中するだろう。
続刊有るようなので機会があれば読みたい。


●青い花 1-3巻/志村貴子

これも職場で拾ってきた本。作者も初。平たく言えば女子校を舞台とした百合物である。が、そんなワードだけでは捉えきれない普遍性がある。それは、この作品において女の子が女の子を好きになるのは、偶然ではないからだ。人は人に恋い焦がれ求める。特に若者にとっては恋はその精神活動の大部を占める。彼女たちの身の回りにいて、自分に手をさしのべてくれる人、自分の伸ばした手の先に触れる人が女の子であるのは、単に、そこが女子校だから、というに過ぎない。人思う気持ちに男も女も無い。ただ、その表現方法が、時に、社会によって時代によって幾分かの性による定型を暗黙の内に期待されるだけである。あきらとふみを主軸に、複数人の女の子達の間に複雑に張り巡らされた想いの糸。恋と友情、その微妙なグラデーション。
落ち着いたタッチとドライな作画、ばっさりと省略された背景で、透明度高く描かれた世界は品がある。展開もストーリーも面白い。難を言えば、人物が皆、ちょっと恋ばっかりの表層的で人間的な厚みが無いが、まあ、恋愛漫画なら仕方無いだろう。今のところノーマルのあきらと、あきらを初恋の相手と慕うふみの親友関係が今後どう変わってゆくのか。あきらに異常に干渉するあきらの兄が今後ぐぐっとメインストーリーに絡んでくれば、構造として面白くなってくるだろう。ちなみに個人的に一番気になるのは井汲京子かな。こちらも機会があれば続きを読みたい。