とんでもない夢を観て~
夢は地獄と繋がっている。
筒井康隆が、自身の著作の中で言っていた?ような気がする。
精神が壊れてきたのか?
近頃、変な夢ばかり観るようになってしまった。
狂ってきている。
たぶん……。
俺はアストンマーチン・DBS を駆り、曲がりくねったはハイウェイを走り抜けていた。
180㎞。
200㎞。
とんでもないスピードで走り、カーブで急減速し、4車線ある道幅を一杯に使い、ドリフトで抜けた。
俺は俺ではなく、ダニエル・クレイグ だった。
ブリティッシュスタイルのスーツに身を固め、神業的なドライビングテクニックで、追っ手の追撃を躱していた。
ベンツやら、BMWやらが、俺に迫り、車体を体当たりさせてくる。
衝撃であらぬ方向に車体が振られるが、何とか立て直していた。
ベンツに立て続けに二回、体当たりされた。
アストンマーチンは、たまらずスピンし、同時に、フロントガラスが割れた。
銃撃だった。
リアガラスも、粉々になった。
今度はこっちのターンだった。
BMWに車体をぶっつけ大破させ、ベンツはワルサーでタイヤを打ち抜いた。
そのままベンツは中央分離帯に突っ込み、反対車線まで四散しながら飛んでいった。
まだ一台残っていた。
正面は行き止まりだった。
ブレーキ。
もう一台は、後ろから突っ込む形だった。
俺は飛んでいた。
多分、ボンドカーなので、脱出装置か何かが付いていたに違いない。
全てがスローモーションだった。
まるで、映画マトリクスのバレットタイム のように。
眼下にアストンマーチンが見えた。
ゆっくりと敵の車が突っ込んでくる。
俺は飛びながら、ワルサーで敵の運転席と助手席を、車のルーフ越しに打ち抜いた。
ゆっくりスローモーションのまま、俺はルーフの上に着地した。
ルーフから飛び降り、肩の辺りの汚れを払いながら、俺は歩き出した。
刹那、背後で車が爆発し、爆風が背中をたたいた。
スーツはぼろぼろだった。
そのままハイウェイを転がるように下りて、真っ先に目にとまったバーへと入った。
周りの客が唖然として、俺を観ていた。
まあ、俺ではなく、ダニエル・クレイグなのだが……。
バーテンは長い金髪をカールさせた、ブルーの瞳のいい女だった。
スツールに腰を下ろし、俺は女を見つめながらこう言った。
「ウオッカマティーニ。シェイクしておくれ」
結局は、マティーニを飲む前に目が覚めた。
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