ゲームをやる男は駄目男
「本当にがっかりだわ」
妻が言った。
EP3のゲームが欲しいと、つい口にしてしまった。
ゲームをするなど、中学生以下だ。
人生に対しての、向上心というもが、あなたには無いのか。
妻の物言いは執拗だった。
今考えると、ガキのようなことを言ってしまったと思う。
妻が商品券でCDを2枚買った。
だから、俺も許されるだろうと思ったのだった。
そして、商品券の残高はそれを買っても余りあるということも知っていた。
明らかに、子供の発想だった。
お兄ちゃんが買ったから僕も欲しいと、デパートのおもちゃ売り場で駄々をこねるガキとなんら変わらない。
自嘲するしかなかった。
家でゲームをする時間などなかった。
それでも、欲しいと思わせるゲームが時々発売された。
すでに発売されているエピソード3と、年末あたりに発売される予定のスターウォーズバトルフロント2である。
俺は、相当なスターウォーズフリークなのであった。
考えられないことだが、いまだにEP3を観ていなかった。
せめてゲームだけでも。
そう考えてしまったのだろうか。
その日は、もう少しでEP3を見ることが出来た。
妻もその気になっていたが、上映時間を告げると、こう言ったのだった。
2時間半も待つなんて、冗談じゃないと。
ゲームをする人間というのは、人生をまじめに生きていない人間なのだろうか。
そう決め付ける妻はいったいなんなのだろうか。
休日に、カルチャースクールのようなものに通うことも、趣味(遊び)という括りで考えれば、ゲームをする事と同じではないのか。
PS2を掴み上げ、窓から投げ捨てようとした。
そして、あることに気付いた。
DVDなどは、これで観ているのだった。
引き出されたコード類を元に戻しながら、表面に溜まった埃を手で払った。