リハビリテーションについて
理学療法
本症の運動機能障害は無動と姿勢反射異常および姿勢異常にもとづく面が大きく、しかもこれらの症候は長期薬物療法で効果の乏しくなるものである。したがって本症の理学療法は無動と姿勢反射異常および姿勢異常を改善し、患者の能力をできるだけ長期にわたって維持することに向けられる。
姿勢異常としては、四肢・体幹とも屈曲位になりやすく、屈曲拘縮をきたすことも少なくないので、四肢の関節可動域維持訓練が必要であり、体幹も前屈・前傾位となるので腹臥位での体幹の伸展、背臥位での臀部挙上などにより伸筋群の強化をはかる。家庭でも毎日全関節を動かす体操訓練をするように指導する。
運動障害としては、①運動開始時および運動中のすくみ現象、②運動の乏しさ、③運動の切り換え困難、④運動速度の遅延、⑤長軸での回旋運動障害、⑥共同運動の減退、⑦左右の非対称運動の障害、⑧二つ以上の運動の同時遂行の困難、⑨加速現象、⑩立ち直り・平衡反応の障害、⑪易疲労性などの基本的な特徴がある。歩行などでも姿勢異常やすくみ足のほかにすり足で小刻みで腕の振りがなく、肩甲帯や骨盤の回旋が乏しいなど、長軸での回旋や左右の交互運動が悪い。
個々の症例についての基本的な運動障害の要素を以上の点について分析評価し、その結果にもとづいて必要な運動訓練を加えることが重要である。すくみ足に対しては、①歩く前に足踏みさせる、②左右どちらかの足にきめてその足をあげてから踏み出させる、③左右の足を前後にずらして立ち、右の足から踏み出させる、④号令をかける、⑤目の前にまたげる程度の障害物のあることを想像させて踏み出させる、⑥L字型の杖をもたせてまたいで歩かせる、などの訓練を行う。
運動訓練としては基本的な訓練として、①寝返り、②四つ這い位、三点支持、二点支持、膝立ち位および立位などの基本姿勢での体重移動、③プッシュによるバランス・防御反応、④臥位、座位から立位への姿勢変換、⑤左右四肢、上下肢の交互運動、⑥固有受容性神経筋促通法(PNF)による運動開始と速度の促進などを行う。
作業療法
基本的な運動障害のため、種々の日常生活動作も障害され、心理面での障害も加わっているので、ADLテストにより障害のある項目を中心に訓練させるとともに、心理面での積極性を引き出すことが必要である。ADLとしてはとくにボタンはめ、衣服の着脱、靴下はき、書字などの功緻運動、ベッドへの上り降り、ふとんのあげおろしなどについて、毎日家庭でも訓練をするように指導する。患者の興味により、創造的意味やレクリエーション的意味をもつ作業、他人とともに行う簡単なスポーツなどについての指導も必要である。
リハビリテーション上の問題
Comellaらは障害度ステージⅡ、Ⅲのパーキンソン病に、通常の日常生活をさせた4週間と、繰り返し運動、耐久力、平衡反応、歩行、功緻運動を組み合わせたリハビリテーション・プログラムをPT、OTにより1日1時間ずつ週3回、4週間継続した場合の効果を統一パーキンソン病評価スケール(UPDRA)により比較した。この結果では運動機能もADLも後者の訓練後には有意な改善がみられた。しかし訓練終了後の家庭での自己訓練では、6ヶ月後の評価では元のレベルであった。
横地、中村は、基本的な運動訓練を1年半以上にわたって施行したところ、パーキンソンニズム、動作速度、ADLなどでは有意な改善はみられなかったが、平衡反応検査では改善例が増加し、1年半以上その効果の維持が可能であった。訓練を行わない対象群では漸次悪化傾向がみられた。したがって、パーキンソン病に対するリハビリテーションは専門訓練士による持続的な訓練が必要で、病が進行して障害が強くなってからではなく、できるだけ早期の軽い障害のうちから薬物療法と平行して、その機能を維持するように継続して訓練することが重要である。この場合も理学療法、作業療法のみではなく、言語療法やホームプログラムによる家庭での訓練と自立の指導、心理的指導も含め、広い視野に立った総合的アプローチが必要である。
理学療法
本症の運動機能障害は無動と姿勢反射異常および姿勢異常にもとづく面が大きく、しかもこれらの症候は長期薬物療法で効果の乏しくなるものである。したがって本症の理学療法は無動と姿勢反射異常および姿勢異常を改善し、患者の能力をできるだけ長期にわたって維持することに向けられる。
姿勢異常としては、四肢・体幹とも屈曲位になりやすく、屈曲拘縮をきたすことも少なくないので、四肢の関節可動域維持訓練が必要であり、体幹も前屈・前傾位となるので腹臥位での体幹の伸展、背臥位での臀部挙上などにより伸筋群の強化をはかる。家庭でも毎日全関節を動かす体操訓練をするように指導する。
運動障害としては、①運動開始時および運動中のすくみ現象、②運動の乏しさ、③運動の切り換え困難、④運動速度の遅延、⑤長軸での回旋運動障害、⑥共同運動の減退、⑦左右の非対称運動の障害、⑧二つ以上の運動の同時遂行の困難、⑨加速現象、⑩立ち直り・平衡反応の障害、⑪易疲労性などの基本的な特徴がある。歩行などでも姿勢異常やすくみ足のほかにすり足で小刻みで腕の振りがなく、肩甲帯や骨盤の回旋が乏しいなど、長軸での回旋や左右の交互運動が悪い。
個々の症例についての基本的な運動障害の要素を以上の点について分析評価し、その結果にもとづいて必要な運動訓練を加えることが重要である。すくみ足に対しては、①歩く前に足踏みさせる、②左右どちらかの足にきめてその足をあげてから踏み出させる、③左右の足を前後にずらして立ち、右の足から踏み出させる、④号令をかける、⑤目の前にまたげる程度の障害物のあることを想像させて踏み出させる、⑥L字型の杖をもたせてまたいで歩かせる、などの訓練を行う。
運動訓練としては基本的な訓練として、①寝返り、②四つ這い位、三点支持、二点支持、膝立ち位および立位などの基本姿勢での体重移動、③プッシュによるバランス・防御反応、④臥位、座位から立位への姿勢変換、⑤左右四肢、上下肢の交互運動、⑥固有受容性神経筋促通法(PNF)による運動開始と速度の促進などを行う。
作業療法
基本的な運動障害のため、種々の日常生活動作も障害され、心理面での障害も加わっているので、ADLテストにより障害のある項目を中心に訓練させるとともに、心理面での積極性を引き出すことが必要である。ADLとしてはとくにボタンはめ、衣服の着脱、靴下はき、書字などの功緻運動、ベッドへの上り降り、ふとんのあげおろしなどについて、毎日家庭でも訓練をするように指導する。患者の興味により、創造的意味やレクリエーション的意味をもつ作業、他人とともに行う簡単なスポーツなどについての指導も必要である。
リハビリテーション上の問題
Comellaらは障害度ステージⅡ、Ⅲのパーキンソン病に、通常の日常生活をさせた4週間と、繰り返し運動、耐久力、平衡反応、歩行、功緻運動を組み合わせたリハビリテーション・プログラムをPT、OTにより1日1時間ずつ週3回、4週間継続した場合の効果を統一パーキンソン病評価スケール(UPDRA)により比較した。この結果では運動機能もADLも後者の訓練後には有意な改善がみられた。しかし訓練終了後の家庭での自己訓練では、6ヶ月後の評価では元のレベルであった。
横地、中村は、基本的な運動訓練を1年半以上にわたって施行したところ、パーキンソンニズム、動作速度、ADLなどでは有意な改善はみられなかったが、平衡反応検査では改善例が増加し、1年半以上その効果の維持が可能であった。訓練を行わない対象群では漸次悪化傾向がみられた。したがって、パーキンソン病に対するリハビリテーションは専門訓練士による持続的な訓練が必要で、病が進行して障害が強くなってからではなく、できるだけ早期の軽い障害のうちから薬物療法と平行して、その機能を維持するように継続して訓練することが重要である。この場合も理学療法、作業療法のみではなく、言語療法やホームプログラムによる家庭での訓練と自立の指導、心理的指導も含め、広い視野に立った総合的アプローチが必要である。