物語をライブで聴く、心に効く、豊かな時間
秋元紀子の透明な声と音楽で織りなす、語りの世界
物語をライブで聴く、心に効く、豊かな時間
秋元紀子の透明な声と音楽で織りなす、語りの世界
安房直子さんの作品を語り続けて、今年で23年目になります。
どの作品も、どこから生まれてくるのかと感心させられます。ファンタジ―と言っても、彼女の物語に甘さはなく、反対に厳しい現実で終わることが多いです。
https://g.co/kgs/mQeVvP
彼女の代表作『きつねの窓』は、教科書にも掲載されています。
今回読ませていただくのは、最後の作品『花豆の煮えるまで 小夜の物語 』です。
ほっこりとしたお話で、何とも優しい気持ちになれるかと思います。
しかし、この奥底には、実は安房さんの秘められた想いがしっかりと隠されているのです。
この話は、私も藤澤さんの取材に同行し、谷口紘子さんから直接伺いました。
「養女」と言う単語は、私の胸をチクリと刺す。
私がライフワークとして、安房直子さんの作品を選んだのも、その作品から同じ匂いを感じたからかも知れません。
ただ、私は自分が養女であることを子供の時から知っていましたが、安房さんは大学卒業間近で知ることになります。
1965年(昭和40年)22歳 打ち明けられた日、直子は部屋にひとり閉じこもって翌朝まで姿を見せず、さて再び両親の前に現れての一声は、「いっぺんにお姉さんが三人もできて嬉しい」だったという。
これまで従姉妹だと思っていた人たちが、実の姉達だと知り、かなり驚いたに違いありません。
安房さんの作品に感じ取る、ぽっかりあいた心の中の穴、どうにも埋められない穴のような喪失感が、自分のことのように感じられます。
今回のお話は、物語の主人公である小夜の、両親の出会いの話から始まります。