ごんざは『たしなむ』ということばをたくさんつかっているが、意味は現代日本語の「たしなむ程度」とか「身だしなみ」とはちょっとちがう。
村山七郎注 cf. タシナム 大切にする 高知県幡多郡。 保存する 出雲・壱岐 TZH.
日本国語大辞典 「たしなむ(嗜) 方言①物を大切にする。節約する。 ②大事にして貯える。壱岐。鹿児島県肝属郡」
「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「небреженiе」(nebrezhenie) 「不注意、無頓着」 『たしなまんこと』
「небрежливый」(nebrezhlivyi) 「不注意な、無頓着な」『たしなまんと』
「неврежденiе」(nevrezhdenie) 「保存」 『たしなむこと』
「невредный」(nevrednyi) 「保存したる」 『たしぬだと』
「неврежду」(nevrezhdu) 「保存する」 『たしなむ』
「прибЕрегаю」(priberegayu) 「大切に保存する」 『たしなむ』
「прибЕрегатель」(priberegateli) 「大切に保存する人」 『たしなむふと』
「прочу」(prochu) 「保存する」 『たしなむ』
「соблюдаю」(soblyudayu) 「保存する」 『たしなむ』
「соблюденiе」(soblyudenie) 「保存すること」 『たしなむこと』
「сохраненiе」(sokhranenie) 「保存、保持」 『たしなむこと』
「сохраненитель」(sokhraneniteli) 「保存、保持」 『たしなむふと』
「сохраненителница」(sokhranenitelnitsa)「保存する女」 『たしなむおなご』
「сохраняю」(sokhranyayu) 「保存する」 『たしなむ』
「храненiе」(khranenie) 「保管」 『たしなむこと』
「хранилище」(khranilishche) 「保管所」 『たしなむとこる』
「хранитель」(khraniteli) 「保管者」 『たしなむふと』
「храню」(khranyu) 「保管する」 『たしなむ』
「Охраняю」(okhranyayu) 「保護する、保存する」『たしなむ』
「Охранитель」(okhraniteli) 「保護者、保存者」 『たしなむふと』
「Охраненiе」(okhranenie) 「保護、保存」 『たしなむこと』
上5つのロシア語は否定形なので、肯定形をさがしてみたら、3つみつかった。
「бреженiе」(brezhenie) 「保管」 『ばん』(番)
「брежливый」(brezhlivyi) 「浪費しない人、節約家」『ばんし』(番衆)
「вредный」(vrednyi) 「損害の、災いの」 『いたごんと』(病気の)
『たしなまんこと』←→『ばん』
『たしなまんと』 ←→『ばんし』
『たしぬだと』 ←→『いたごんと』
要するに『たしなむ』の類義語が『ばん』(番)で、反意語が『いたご』(病気・ダメージ)ということだ。
『たしなむ』というのは、ダメージをうけないように気をつけながら保管することなのだ。