早朝の電車の前の座席に座るサラリーマン氏。
完全に眠りこけている彼の足元を見ると、
あらら、スラックスの裾が半分靴下の中に入り込んでいるよ。
カーテンが閉まった薄暗い部屋で寝ぼけて着替えたんだろうな。

でも、手首には数珠らしきものが巻かれているから、出勤前に拝んできたとすると一時はしゃきっとしたはずだから単にそそっかしいだけか?

私の左隣に座る男性のベージュのスラックスの上をはい回る一匹の蟻!
彼の自宅からついてきたのかな!?

ても、いつこっちに移ってくるか気になって仕方がない。
もしや、組織が送り込んだスパイ?

反対側のフトモモの辺りには黒いアブラムシみたいのもモソモソ動いているし、彼を見張る為に念を入れたか!?

とすると、私の右隣に座りフトモモの内側に頭を突っ込む位に体を折り曲げて寝ている高校生も怪しく思える。
足の間から隣を窺っている?
何か皆妖怪に思えてきた。
そういえば作家の川上弘美さんも友人が体長15cm位のカツパに会った話をエッセーに書いていて、それを彼女が必ずしも否定している訳では無い所がいかにも彼女らしい。

なにか宮崎駿の世界に紛れ込んだみたい。

うちの会社にも妖怪のような面々がいるし、人間界には考えている以上に妖怪が紛れ込んでいるのかもしれない。

「大宮~」のアナウンスが!
おっと、みんな降りていったよ。
いよいよ怪しい妖しいぞ。大宮は妖怪の巣窟か!?