学校は夏休み真っ最中。企業もお盆休み。


猛暑もいったん影を潜め、さて読書でも

しようかと考えていたら、ふと2年前の夏、

夏目漱石の「こころ」を読んだのを

思い出しました。


というのも、今年は朝日新聞の連載もあり、

この「こころ」が数百万部も売れたとか・・・。


さすがに古典小説の実力はすごいなぁと

感心していたためです。


もう1度読み直してみるかと思い、

読んでみました。


そうすると、学べること、多々ありました。


ひとことで表現するとすれば、この本は

”青年期の友情と恋愛のはざまで”と

いうことになるのでしょう。


夏目漱石自身の”先生”という立場のひとりの

人生の先輩が書いた超ロングな遺書を

紹介する形で物語は全編進んでいきます。


その”先生”には"”K”という友人がいて、

同じところに下宿するという設定です。


この”先生”が語る”K”という青年の

見方ですが、とても友情に溢れています。


”K"のためにできることは何かを

真剣に考え、それを実行に移していきます。


”K"の性格や価値観を慮り、彼に

とってためになること、生活しやすくすることは

何かをアドバイスしたり、それとなく悟らせたり、

あるいは、自分が”K"から学んだりと、

まさに青年期の理想的な友達関係では、と

感じてしまいました。


ふたりとも、時代的なこともあり、すごく

内省的で、思ったことをすぐに口にする

こともなく、知的なことも手伝い、

会話が大人なんです。


若者らしくはしゃぐこともなく、

頭で考え慎重に行動するタイプ。


それだくに内的なストレスも

たまっていると想像できます。


そんな友情に包まれている

ふたりですが、下宿先のお嬢さんへの

思いが募ると、その友情には

ひびが入りかけます。


そのお嬢さんは、後に”K"ではなく、

”先生”自身のお嫁さんになる人なんですが、

俗にいう三角関係でした。


それは、先生と"K"は互いの気持ちを

知りながら言い出せずにいました。


ここが、人生の難しいところ。


友達が同じ人を好きになったら、

貴方はどうしますか?


それも真の友情で結ばれた友です。


答えはないですよね。


ケースバイケース?


最終的に”K"は自分の思いが叶わずと

結論づけたため(?)か、自殺

してしまいます。


これに対し、”先生”は、非常に

罪悪感を覚えます。


切ないですね!


やはり友といえども、最愛の人は

とられたくないもの・・・独占欲が

先生にも働くのです。


この心理描写は、この本に繊細に

描かれています。


美しく聡明なこころの持ち主で

ありながら、運命に自分のこころが

翻弄され、最後は友を深く

傷つけてしまいます。


ふたりの出した答えは死でした。


この遺書の語りの最終盤で

先生自身も自殺してしまうのです。


こころが美しければ美しいほど、

哀しみに包まれ、やりきれなく

なってしまう。


私は、この本をこんな風に

読みました。


読書もさまざまな

読み方があり、理解の仕方、

感じるところ、学べるところなど、

個人差が出ます。


それはそれでいいと思っています。


大事なのは、良書を読んで何を考え、

感じ、どんな知恵とするかだと思います。


捨てたいこと、取り入れたいこと、

これも個人差があるでしょう。


答えはひとつではないはず。


人間について考え感じる

習慣をつけることで、味わい深く

人生を送れる気がします。


そのヒントを出してくれるのが

良書ではないでしょうか?