『早春賦』 山田正紀 角川書店 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

『早春賦』 山田正紀 角川書店

早春賦/山田 正紀
¥1,785
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時は1613年、舞台は甲州。


大久保長安の反乱軍の残党が立て篭った、


八王子城を落とせ!


攻め手にとっては八王死と呼ばれる、


前田利家さえ苦労した、


堅城八王子城の守りの要を破壊する為、


武田家臣団の遺児、"風"は、


幼馴染の"林""火""山"と共に、


困難な任務に挑戦する!


が、"火"は裏切った!


"風"は任務を果たすことが出来るだろうか?



伝奇の要素のない普通の時代小説。


忍者は出てくるが、


忍術、剣術、体術より、


敵を騙す頭脳戦が決め手になるかっちょええ時代小説。


任務を授けられる前の青春群像がうっとおおしいが、


夢を持たずに地味に生きる事を訴える素晴しい結末を迎える。


武田騎馬軍団は存在しなかった等の、


科学的に正しい時代小説である。


両手で剣を握る正当剣法を馬鹿にしてるのが痛快!


知恵を巡らせた戦場で、太刀同士で剣戟するのは愚か者である。


平和な江戸時代に確立した剣術のとろくささが理解出来る


知的レベルの高い本である。


セリフのほとんどが甲州弁と尾張弁なのもリアル。


正紀は普通の時代小説家としても天才であった!